
ホーム > 文学・芸術, 新刊案内, 早稲田大学エウプラクシス叢書, 歴史・哲学 > トゥスカーニアのサン・ピエトロ旧司教座聖堂壁画
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ローマから北西約100kmに位置するラツィオ州の小都市トゥスカーニアに建つ、サン・ピエトロ旧司教座聖堂。11世紀末に遡る聖堂には、中世イタリアの貴重な壁画装飾がある。これまでみなされていた、同聖堂がローマ周辺における古代異教・初期キリスト教美術の再解釈と刷新現象の好例という視点から離れ、本書ではトゥスカーニアに特殊なモティーフに着目する。アプシスと南北小アプシスの配置や組み合わせ、南小祭室、勝利門壁面、内陣北壁、クリュプタをそれぞれ図像学的に論じ、同聖堂の装飾プログラムを提唱する。
1979年東京都生まれ。立教大学大学院文学研究科組織神学専攻博士課程前期課程修了、修士(神学)。早稲田大学大学院文学研究科美術史学コース博士後期課程単位取得退学、2018年博士(文学、早稲田大学)取得。
専門は中世イタリア美術史、キリスト教美術。
序 論
第1章 修復と改変
第1節 壁画と建築の現状
第2節 壁画の記録と修復
第3節 壁画の改変
第2章 教会改革とトゥスカーニア司教
第1節 教会改革
第2節 トゥスカーニア司教の状況
第3章 アプシス
第1節 1971年以前のアプシス
第2節 先行研究
第3節 雲間に立つキリスト
―「昇天」と「顕現」―
第4節 創造主としてのキリスト
第5節 アプシス下部図像の再検討
第4章 南北小アプシス
第1節 南小アプシス「洗礼」
第2節 北小アプシス「2人の司教聖人に囲まれるキリスト」
第5章 南小祭室
第1節 イタリア周辺の洗礼者ヨハネ伝サイクル
第2節 「誕生の予告」
第3節 「誕生」
第4節 「命名」
第5節 「洗礼者ヨハネと福音書記者ヨハネによる神の小羊の礼讃」
第6章 勝利門壁面
第1節 「ヨハネの黙示録」
第2節 天上の典礼と地上の典礼
第7章 内陣北壁ペテロ伝サイクル
第1節 先行研究
第2節 中世におけるペテロ伝サイクル
第3節 「足の不自由な男の治癒」(使徒3:1-10)
第4節 「獄中での天使の出現」(使徒12:6-8)
第5節 「ペテロの解放」(使徒12:9-11)
第6節 「ペテロとパウロの出会い」(殉教録3章)
第7節 「聖人と寄進者」
第8節 「魔術師シモンとの論争」(殉教録16-50章)
第9節 「 犬の奇跡」(殉教録24-27章)と「物言う犬」(ペテロ行伝9-12章)
第10節 「魔術師シモンの飛行と墜落」(殉教録30,51-56章)
第8章 クリュプタ
第1節 小アプシス
第2節 アーチ
結 論
あとがき
参考文献
図版一覧
図版出典
地 図
索 引
英文要旨