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写真:〈世界〉としての窓
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〈世界〉としての窓
演劇、絵画、映画、そして建築

坂牛 卓 / 平瀬有人 著

新書判 296ページ

本体:1,000円+税(2024年9月30日発売)

ISBN:978-4-657-24006-4

TSUTAYA
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作品概要

本書は、第一線で活躍する二人の建築家が、さまざまな芸術における“窓(フレーム)的表現”を参照しながら、それが私たちの暮らしや世界観と密接に結びついていることを、建築家としての現場での経験をもとに明らかにし、「世界」と「窓」とをめぐる従来の議論に建築論的転回をもたらさんとする野心的な論考である。演劇(プロセニアムアーチ)や絵画(額縁)、映画(フレーミング)など、異なる表現における「窓」の役割を分析するいっぽうで、風景を切り取るフレームとしての窓、建物の内外をつなぐ通路としての窓、建物の内部で隔てられた空間同士をつなぐ窓といったように、建築における「窓」の機能についても、独自の視点から多角的な分析を加える。その目線は、近代建築の超克まで見据えており、建築論や都市論の読者はもちろんのこと、メディア論や表象文化論の読者にも楽しんで頂ける、奥の深い内容となっている。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

坂牛 卓(さかうし たく)
建築家。東京理科大学工学部建築学科教授。早稲田大学芸術学校非常勤講師。1959年東京都生まれ。 1983年東京工業大学工学部建築学科卒業。1985年文部省給費留学生として UCLA 大学院都市建築学部修了。1986年東京工業大学大学院修士課程修了。博士(工学)。1998年O.F.D.A associates設立。2009年信州大学工学部建築学科教授。2011年より現職。主な受賞に2005年第 4 回芦原義信賞、2007年日本建築学会作品選奨、2015年The International Architecture Award 2015、2017年SD レビュー SD賞、2023年JIA 長野建築賞2023優秀賞ほか。主な著書に『建築の規則』(ナカニシヤ出版)、『建築の条件』(LIXIL 出版)、『建築の設計力』(彰国社)、『教養としての建築入門』(中公新書)、『建築スタディ 発想の方法』(編著/学芸出版社)がある。

平瀬有人(ひらせ ゆうじん)
建築家。早稲田大学芸術学校教授。1976年東京都生まれ。1999年早稲田大学理工学部建築学科卒業、2001年同大学院修士課程修了。博士(建築学)。 2007年文化庁新進芸術家海外留学制度研修員(在スイス)。同年よりyHa architects共同主宰。2008年佐賀大学准教授。2023年より現職。主な受賞に2016年グッドデザイン賞、2017年日本建築学会作品選集新人賞、2019年SDレビュー朝倉賞、2022年第4回日本建築設計学会賞、2023年日本空間デザイン賞、2024年iF DESIGN AWARD 2024ほか。共著書に『図解 建築プレゼンのグラフィックデザイン』(鹿島出版会)がある。

目次など

はじめに
 窓を考え始めたきっかけ(坂牛 卓)/絵画・ガラス・窓(平瀬有人)

第一部 諸芸術における「窓」
 第一章 フレームの創発(平瀬有人)
  1 フレームとはなにか
  2 芸術・環境美学とフレーム
  3 演劇とフレーム

 第二章 絵画のフレーム(平瀬有人)
  1 空間を切断するリフレームとしての額縁
  2 空間と絵画をつなぐ額縁
  3 絵画に描かれるフレームの変遷

 第三章 写真・映画・マンガのフレーム(平瀬有人)
  1 写真の中のフレーム
  2 映画の中のフレーム
  3 マンガの中のフレーム

第二部 建築における「窓」
 第四章 窓・フレームとしての建築(坂牛 卓)
  1 建築における窓・フレームとはなにか
  2 作品「連窓の家 #1、#2、#3」
  3 作品「三窓」
  4 作品「リーテム東京工場」
  5 作品「角窓の家」
  6 作品「旧富士製氷」

 第五章 リフレームとしての建築(坂牛 卓)
  1 建築におけるフレームとはなにか
  2 作品「高低の家」――大きさと色を変える
  3 作品「三廊下の家」――形と大きさを変える
  4 作品「内の家」――大きさと色を変える
  5 作品「茜の家」――大きさと色を変える

 第六章 マルチフレームとしての建築(平瀬有人)
  1 マルチフレームへの道
  2 うがたれたフレーム/遮蔽するフィルターとしての建築
  3 建築におけるマルチフレームとはなにか
  4 作品「富久千代酒造 酒蔵改修ギャラリー」――複数のフレーム
  5 作品「御嶽山ビジターセンター」――フレームとフィルター
  6 作品「代々木の住宅」――複数のフレーム
  7 作品「五ケ山クロス ベース」――フレームとフィルター
  8 作品「TETUSIN DESIGN RE-USE OFFICE」――複数のフレーム

 第七章 世界各地の「窓」建築(平瀬有人)
  1 風景の観測装置としてのフレーム
  2 内外の視線の交錯をつくりだすフレーム
  3 マルチフレームと絵画的手法の連鎖する空間

第三部 命を注ぎ込む「窓」
 第八章 窓の形状とそこを通り抜けるもの(坂牛 卓)
  1 外と内の間を通り抜けるもの
  2 形状を決めるもの
  3 別世界への入り口としての窓
  4 建築の力を持続させるメディア

 第九章 流れについて(坂牛 卓)
  1 動線
  2 運動
  3 流れと淀み
  4 アナロジカルな考察
  5 空間の新鮮化

 第一〇章 建築を超えて(坂牛 卓)
  1 町の活性化
  2 公共性
  3 町の窓
  4 自邸で考える

おわりに
 窓は〈世界〉である(坂牛 卓)

引用・参考文献

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