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写真:古今和歌集の遺響
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古今和歌集の遺響
村上朝前後の歌合表現論

田原 加奈子 著

A5判 248ページ

本体:5,000円+税(2024年11月29日発売)

ISBN:978-4-657-24804-6

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作品概要

歌合は和歌行事として平安時代の貴族社会で始まり、遊戯的要素が強かったものが様式の変化に伴い、次第に文芸性が高まっていった。新たな展開を見せたのは『古今和歌集』の成立後ほどない村上朝期(946〜967年)。この勅撰和歌集の残像のなか、歌合の表現は醸成されていった。これらの発展には何が寄与したのか。女集団たる後宮と、男集団たる内裏・臣下の歌合の様相にこそ鍵がある。村上朝前後で和歌表現はどのように展開していくのか。それぞれの歌合の性質に寄り添い、歌合史の視点から文学的な躍動の始まりを村上朝期に見出す新たな表現論。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

1987(昭和62)年生まれ。2020年早稲田大学大学院文学研究科修了。博士(文学)。共同著書に『学びを深めるヒントシリーズ 伊勢物語』、『学びを深めるヒントシリーズ 枕草子』(明治書院)。主な論文に「亭子院歌合の「みちよ」の表現の展開」(『國學院雑誌』第125巻 第10号)、「康保三年内裏前栽合について」(『國語と國文学』第101巻 第8号)、「女四宮歌合の位置」(『国文学研究』第193集)など。現在、玉川大学・明治大学・亜細亜大学非常勤講師。

目次など


第一部 後宮と歌合の関係
 第一章 京極御息所歌合における後宮の企図
  一 はじめに
  二 京極御息所歌合について
  三 忠房の贈歌(本歌)
  四 女性賛美の意図
  五 後宮歌合の中で
  六 返歌
  七 おわりに

 第二章 麗景殿女御歌合の結番方法
  一 はじめに
  二 表現と享受の様相
  三 左右歌の共通性
  四 情景の連続性
  五 歌合史上の位置
  六 おわりに

 第三章 主催の意図と表現――女四宮歌合について
  一 はじめに
  二 女四宮歌合について
  三 和歌から読み取れること
  四 判詞から読み取れること
  五 後宮歌合の系譜
  六 催行の目的
  七 おわりに

 第四章 表現から見る寓意の意図――皇太后詮子瞿麦合の寓意について
  一 はじめに
  二 詮子瞿麦合について
  三 開催年次
  四 左方・冒頭二首
  五 左方・三~六番歌
  六 右方歌
  七 自方優位の主張
  八 おわりに

第二部 村上朝を俯瞰して
 第五章 村上天皇名所絵屏風歌の詠風
  一 はじめに
  二 村上天皇名所絵屛風歌について
  三 冬から春へ移行する「吉野山」
  四 秋と恋の「佐保山」
  五 いい古される「石上」
  六 おわりに

 第六章 村上朝後宮歌合の役割
  一 はじめに
  二 村上朝の後宮
  三 後宮と歌合
  四 政治勢力と後宮
  五 おわりに

 第七章 『拾遺集』の中の歌合
  一 はじめに
  二 勅撰集と歌合歌
  三 『拾遺集』と後宮の歌合歌
  四 分布状況
  五 京極御息所歌合の入集歌について
  六 撰歌基準
  七 おわりに

第三部 内裏および臣下の歌合
 第八章 坊城右大臣殿歌合表現の影響
  一 はじめに
  二 坊城右大臣殿歌合
  三 祝意の反復
  四 結番をまたぐ連関性
  五 康保三年内裏前栽合
  六 前栽合として
  七 表現上の影響
  八 おわりに

 第九章 康保三年内裏前栽合における後宴歌会
  一 はじめに
  二 康保三年内裏前栽合
  三 洲浜の二首
  四 後宴の和歌(一) 男性歌
  五 後宴の和歌(二) 女房歌
  六 特質
  七 おわりに

 第十章 歌合献詠歌の賀意について――寛和二年内裏歌合
  一 はじめに
  二 寛和二年内裏歌合の問題点
  三 結番の特徴(一) 左右の連関
  四 結番の特徴(二) 賀意を添える歌
  五 歌合史の中で
  六 政治史の中で
  七 歌人構成から
  八 おわりに

初出一覧
あとがき
和歌初句索引
人名・書名・事項索引

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