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鎌倉時代、後鳥羽院のもとで誕生した『新古今和歌集』。それは後鳥羽院が圧倒的な情熱を傾けたゆえの結晶であり、和歌史上において一つの到達点に至った。他方で、後鳥羽院は王政復古を目指し、歌壇に摂関・大臣家の歌人がつどったことは前代にない特質である。本書では政治性の強い権門勢家の貴族達の視点にたち、後鳥羽院歌壇での政治的側面を明らかにする。大臣家の土御門家と摂関家筆頭の近衛家に焦点をあて、日記類や和歌事蹟、説話などから活動を考察し、その和歌を取り上げる。中世和歌史において和歌と政治の関わりがどのように形成され、後世に引き継がれていったのかを辿る。
1988(昭和63)年生。2020年早稲田大学大学院教育学研究科修了。博士(学術)。専門は日本古典文学、和歌文学。共同著書に『私家集全釈叢書40 民部卿典侍集・土御門院女房全釈』(風間書房)、『阿仏の文〈乳母の文・庭の訓〉注釈』(青簡舎)。主な論文に「源通具の和歌―漢詩摂取という側面から―」(『中世文学』62)、「『阿仏の文』一八段「氷にむせぶ下荻の袖の雫」小考―宮廷女房の零落と「琵琶引」―」(『日本文学』73巻12号)など。現在、岡山大学専任講師。
序章 本書の目的
一 新古今時代における政治的側面
二 後鳥羽院歌壇における土御門家
三 藤原忠良の和歌活動
第一部 新古今歌壇における土御門家(一)――源通親と『源氏物語』
第一章 『源氏物語』と権門――源通親の『正治初度百首』伊勢公卿勅使詠から
一 はじめに
二 通親にとっての伊勢公卿勅使の旅
三 『源氏物語』というフィクションを踏まえる意味
四 おわりに
第二章 源通親の『源氏物語』摂取――『千五百番歌合』百首を中心に
一 はじめに
二 歌壇での立場と『源氏』
三 夏部における巻名歌群(一)―全体の構成
四 夏部における巻名歌群(二)―歌林苑巻名歌
五 夏部における巻名歌群(三)―個々の歌から
六 秋部における地の文を含めた摂取
七 おわりに
第二部 新古今歌壇における土御門家(二)――源通具と歌壇
第一章 歌人源通具の初学期――新古今歌壇参入の過程を探る
一 はじめに
二 後鳥羽院歌壇成立以前
三 正治から建仁にかけて―公的な場で
四 正治から建仁にかけて―父通親の下で
五 『十首和歌会』とその後
六 おわりに
第二章 源通具の『千五百番歌合』――初めての応制百首という観点から
一 はじめに
二 恋・雑部概観
三 新しい表現の摂取
四 漢詩の摂取
五 物語歌の摂取
六 おわりに
第三章 源通親からの継承①――「五辻殿新御所和歌御会」序者
一 はじめに
二 歌会への参加
三 「五辻殿新御所和歌御会」における「序者」
四 おわりに
第四章 源通親からの継承②――源通具における漢詩摂取とその方法
一 はじめに
二 通具と漢詩の関わり
三 通具の漢詩摂取
四 おわりに
第三部 新古今歌壇における土御門家(三)――後鳥羽院と源通光
第一章 『建保五年右大将家歌合』――後鳥羽院と源通光をめぐって
一 はじめに
二 『右大将家歌合』概要
三 『右大将家歌合』諸本の検討
四 判者の検討―歌と判の分析から
五 通光判の可能性について
六 建保期の歌壇情勢の中で
七 おわりに
第四部 新古今歌壇における近衛家の和歌活動
第一章 藤原忠良の和歌に関する基礎的研究――和歌環境から私的百首まで
一 はじめに
二 新古今時代以前の忠良歌
三 忠良を囲んだ和歌環境
四 後鳥羽院歌壇以後の活動―隠棲と出家
五 後鳥羽院歌壇以後の活動―百首歌
六 おわりに
第二章 判者藤原忠良――近衛家と新古今歌壇
一 はじめに
二 藤原忠良の同時代評価
三 『千五百番歌合』における忠良判の特徴―勝負付から
四 忠良の判詞内容
五 おわりに
第三章 蔵人の風雅と基実の意図――『古今著聞集』百五十九段から
一 はじめに
二 百五十九段に描かれた出来事
三 「蔵人の兵衛尉通定」について
四 『古今著聞集』の構成
五 おわりに
終章 総括と今後の展望
あとがき
初出一覧
初句索引
人名索引
書名索引
英文要旨