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大好評「後漢書」シリーズ第9巻は「列伝」の5巻目。後漢後期~末期を生きた臣下たちの伝記を収録する。たとえば楊震。賄賂を渡そうとしてきた部下に、「天知る、神知る、我知る、なんじ知る」と言い、受け取りを拒否した「四知」の教えで知られる。「清白」の名を子孫に遺し、「四世三公」(最高位にある3つの官職の経験者を4代にわたり輩出したこと)の家柄の基を築いた。さらには馬融。外戚でありながら、経学者、文学者として、『論語』をはじめとする数多くの書物の注釈を著した。そして蔡邕。母の死後、「三年の喪」を実直に行い、宦官との確執を経て武将の董卓を支えた。権力争いが激化するなか、傑士たちの生涯が描かれる。
【収録人物】
李恂、陳禅、龐参、陳亀、橋玄、崔駰、周燮、黄憲、徐稺、姜肱、申屠蟠、千乗貞王、平春悼王、清河孝王、済北恵王、河間孝王、城陽懐王、広宗殤王、平原懐王、張晧、王龔、种暠、陳球、杜根、欒巴、劉陶、李雲、劉瑜、謝弼、虞詡、傅燮、蓋勳、臧洪、張衡、馬融、蔡邕ほか。
范曄(はんよう)
398~445年。劉宋の政治家・歴史家・文学者。後漢滅亡の約200年後に、諸家の資料を参考にし、『後漢書』を著す。
李賢(りけん)
655~684年。唐の政治家・歴史家。高宗と則天武后の第2子(章懐太子)。幼いころより学才にめぐまれ、『後漢書』の注を完成させる。
渡邉 義浩(わたなべ よしひろ)
1962年、東京都生まれ。文学博士。早稲田大学文学学術院教授。専攻は「古典中国」学。著訳書に『後漢国家の支配と儒教』(雄山閣出版)、『三国志よりみた邪馬台国』(汲古書院)、『全譯論語集解』(主編、同)、『全譯後漢書』(主編、同)、『儒教と中国――「二千年の正統思想」の起源』(講談社選書メチエ)、『「論語」――孔子の言葉はいかにつくられたか』(同)、『魏武注孫子』(講談社学術文庫)、『関羽――神になった「三国志」の英雄』(筑摩選書)、『漢帝国――400年の興亡』(中公新書)、『孫子――「兵法の真髄」を読む』(同)、『『韓非子』入門』(ミネルヴァ書房)、『虚構から史実へ――中国史書による国家の正統化について』(早稲田新書)、『論語集解――魏・何晏(集解)(上/下)』(早稲田文庫)、『後漢書 本紀[一]/本紀[二]/志[一]/志[二]/列伝[一]/列伝[二]/列伝[三]/列伝[四]』(同)など多数。
李陳龐陳橋列伝第四十一
崔駰列伝第四十二
周黄徐姜申屠列伝第四十三
楊震伝第四十四
章帝八王伝第四十五
張王种陳伝第四十六
杜欒劉李劉謝伝第四十七
虞傅蓋臧伝第四十八
張衡伝第四十九
馬融伝第五十上
蔡邕伝第五十下