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グラスランの経済学
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経済学を学問として認識した18世紀後半のフランス絶対王政期の活発な議論の中に重要な論客として関わっていた経済学者グラスラン。先駆的な主観価値理論にもとづく新しい市場社会を描き、農業を中心とする形而上学的な国家思想を説くフィジオクラシーに対し、グランスランは主観価値理論、土地所有交易論、累進的消費税案をもって批判する一方で、フランス東部の都市ナントの大規模な開墾と都市開発をも成功させた。国内で初めてグラスランの経済思想を追究した一書。経済学史におけるグラスランの存在感を際立たせる。
東京生まれ。
1983年3 月、桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業。
1998年、オーストラリア国立大学大学院修了、Graduate Diploma in Music(piano performance)取得。
2012年3月、慶應義塾大学経済学部卒業。
2015年3月、早稲田大学大学院経済学研究科修士課程修了。
2020年3月、早稲田大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済
学)、専攻は経済学史。
成蹊大学、明治学院大学、その他の大学で非常勤講師。
序 章
第1節 グラスランが受けるべき再評価をめざして
第2節 先行研究
第3節 本書の構成
第1章 グラスランの生涯
第1節 ナントの総徴税官就任まで
第2節 経済学理論の時代
第3節 ナント開発の時代
第4節 グラスランの著作
第2章 グラスランの発展的土地所有公益論
――「ペテルブルグ論文」の再評価
第1節 はじめに
第2節 論文公募の目的
第3節 3つの経済モデル
第4節 農民の所有権獲得による社会的効果
第5節 懐古的平等主義か
第6節 商業社会への誘い
第3章 チュルゴとグラスランの主観価値理論
――チュルゴの価値概念の変化の要因
第1節 はじめに
第2節 チュルゴの主観価値理論
第3節 グラスランの主観価値理論
第4節 チュルゴとグラスランの関連性
第5節 グラスランからチュルゴとメンガーへのつながり
第4章 グラスランとボードーの価値論争
――『書簡集』に見るフィジオクラシーへの熱狂と批判
第1節 はじめに
第2節 フィジオクラートの動向
第3節 加工業の価値をめぐる対立
第4節 「不生産的」労働概念の反証―費用価値vs. 主観価値
第5節 費用価値と主観価値それぞれの継承
第5章 水とダイヤモンドのパラドックス
――フォルボネとグラスランの1767年における「到達度」
第1節 はじめに
第2節 「水とダイヤモンドのパラドックス」をめぐる変遷
第3節 フォルボネとグラスランの富・序列・価値
第4節 1767年の「水とダイヤモンドのパラドックス」
第5節 フォルボネとグラスランの「到達度」の評価
第6章 グラスランの累進的消費税論
――消費の規範性と担税能力
第1節 はじめに
第2節 土地単一税と累進的消費税
第3節 カンティロンの循環論とマブリの思想
第4節 累進的消費税と関税の効果
第5節 税の四原則と消費税
第7章 グラスランの貿易論
――穀物輸出をめぐるフィジオクラシー批判
第1節 はじめに
第2節 「経済表」以外の論稿から見るケネーの経済思想
第3節 ケネーの理念的交易論
第4節 グラスランの現実的交易論
第5節 機械論をもとにした2つの市場像
終 章
あとがき
参考文献
索 引
英文要旨