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ラテンアメリカ主要国の一つであるメキシコでは、かつてマヤ文明やアステカ帝国が栄え、その後300年のスペインの植民地時代があり、独立戦争、メキシコ革命を経ている。その痕跡が今なお公共空間や駅、モニュメントに見て取れる。それらは非言語媒体として、見る者にメッセージを発する。メキシコの地域研究を専門とする著者が、「メディア」を軸にし、メキシコという地域を分析。メキシコにおけるメディア産業の展開、メディアとしての機能を持つ公共空間、日本のメディアに映し出されたメキシコの実像と虚像を論じ、メディアの特質を論じる。メッセージはなんのために発信され、どのように届くのか。
早稲田大学理工学術院創造理工学部准教授。
神奈川県生まれ。専門はメキシコ地域研究(歴史学、人類学)。2002年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得退学。北海道大学大学院メディア・コミュニケーション研究院を経て、2013年より現職。
序 論 メディア研究の射程
第1節 はじめに──メキシコから
第2節 メディア研究
第3節 問題設定と研究方法
第4節 各章の構成
第Ⅰ部 マスメディアの誕生と発展
第1章 メキシコの日刊紙の誕生と国民議会への道のり
第1節 はじめに
第2節 副王領時代植民地の報道の幕開け
第3節 日刊紙『ディアリオ・デ・メヒコ』の誕生
第4節 1808年の危機,副王イトゥリガライ,議会
第5節 結 論
第2章 メキシコのテレビ産業の構造とその創業者たち
第1節 はじめに
第2節 テレビ産業の創業者たち――ラジオや家電小売りからテレビへ
第3節 テレビ産業の基本構造――民間主導と集中
第4節 結 論
第3章 メキシコのメディア産業の改革と再編――2000年代以降の地上波テレビ
第1節 はじめに
第2節 「テレビサ法」の成立とその無効化
第3節 組織再編と新法――非対称規制の導入
第4節 イマヘン・テレビとその構造
第5節 「エクセルシオル」紙の変容とその背景
第6節 結 論
第Ⅱ部 記憶の場――メディアとしての公共空間
第4章 災害の記憶化と地震後の跡地空間のゆくえ
――1985年のメキシコ大地震とメキシコシティの市民社会
第1節 はじめに
第2節 地震の被害状況と人的損失
第3節 跡地空間のゆくえ
第4節 結 論
第5章 メキシコシティの地下鉄駅のデザインと「国民化」
第1節 はじめに
第2節 メキシコシティの地下鉄の性格
第3節 メディアとしての公共空間
第4節 公共空間としての地下鉄構内の意匠とそのメッセージ性
第5節 「国民化」を超えて――双方向性と参加と
第6節 結 論
第6章 記憶の場としての公共空間
――地下鉄の壁画の作家たちと壁画運動の関連性を中心に
第1節 はじめに
第2節 集合的記憶・歴史・国民国家
第3節 「大学都市」駅の壁画とアルトゥロ・ガルシア・ブストス
第4節 「ベジャス・アルテス」駅の壁画とリナ・ラッソ
第5節 ギジェルモ・セニセロス─「タクバヤ」駅と「コピルコ」駅
第6節 ハウレギ――「石油研究所」駅
第7節 結 論
第Ⅲ部 メディアと表象
第7章 19世紀東京朝日新聞にみる「メキシコ」――1888-1900
第1節 はじめに
第2節 「メキシコ」関連記事の量的推移
第3節 日墨修好通商航海条約に関連する記事
第4節 メキシコへの移民・植民を巡る記事
第5節 メキシコドル(墨銀),通貨制度,金本位制関連の記事
第6節 結 論
第8章 19世紀読売新聞にみる「メキシコ」――1874-1900
第1節 はじめに
第2節 明治期の読売新聞
第3節 「メキシコ」記事数の推移
第4節 日墨修好通商航海条約及び日墨外交に関連する記事
第5節 移民・植民に関連する記事
第6節 通貨,銀,為替等の記事
第7節 その他の記事
第8節 おわりに
第9章 ヤキ族の虚像と実像――日本の新聞報道(1872 〜)の分析
第1節 はじめに
第2節 ヤキ族とは誰か
第3節 「カスタネダ問題」と日本におけるヤキ族の記述(書籍タイトルから)
第4節 日本のメキシコ研究者によるヤキ族の記述
第5節 日本の新聞(朝日・毎日・読売)におけるヤキ族への言及
第6節 新聞記事の通時的な量的・質的分析
第7節 おわりに
第10章 ヤキ族の虚像とその系譜
――日本の論壇における「カスタネダ問題」とその影響
第1節 はじめに
第2節 研究論文――非ラテンアメリカ研究者による記述
第3節 論壇の文化人によるヤキ族――慶長遣欧使節団と日系人を結ぶ線
第4節 論壇の文化人によるヤキ族─カスタネダの系譜
第5節 結 論 ─日本におけるヤキ族の記述の特徴
結 び
あとがき
謝 辞
初出一覧
参考文献
事項索引
人名索引
英文要旨