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写真:オッフェンバックと大衆芸術
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オッフェンバックと大衆芸術
パリジャンが愛した夢幻オペレッタ

森 佳子 著

A5判 418ページ

本体 8,200円+税(2014年6月10日発売)

ISBN:978-4-657-14703-5

TSUTAYA
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作品概要

オペレッタの創始者としても知られるオッフェンバックの音楽は,時代やジャンルの境界を越え,あらゆる国の大衆に求められ,ミュージック・ホールやバレエ,映画などで形を変えて使われ続けた。変幻自在なオッフェンバック芸術の魅力とは何なのだろうか。モダニズム以後ミドルカルチャーの時代に至るまで,常に大衆を魅了し続けた彼の作品を再評価する。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

「奥深い『知』の喜びと共に,対象への強い愛情に支えられた会心の著作にほかならない。」
2014年10月 レコード芸術

「パリでその舞台と出会い,音楽の親しみやすさと意味深なユーモアに惹かれた筆者が,オッフェンバックについて研究を重ね,その芸術の魅力を再評価する。」
2014年8月 ぶらあぼ+danza inside

目次など

第I部 19世紀パリの大衆的な劇場文化

第1章 パリの劇場政策19世紀前半〜中期
1 オペラ劇場の伝統と革新
 「大劇場」の栄華と翳り
 新興オペラ劇場の活動
2 「二流劇場」の活性化
 劇場の誕生,苦難そして繁栄
 オペレッタ誕生の舞台
 メロドラムや夢幻劇の劇場
 カフェ・コンセール

第2章 オペレッタの栄枯盛衰19世紀後半
1 第二帝政期の「華」?
 オペレッタとは何か
 フランス・オペレッタの発祥
 繁栄から衰退へ?
2 オッフェンバックの新しい挑戦
 1870年以後のオペレッタへの評価
 「夢幻オペレッタ」創作の時代へ
3 ライヴァルの台頭
 オッフェンバックの後輩たち
 「教義的」オペラ・コミックへの回帰《アンゴー夫人の娘》を例に

第II部 オペレッタの本質——「滑稽」と「繰返し」の美学

第3章 オペラ・コミックの遺産
1 オペレッタの祖先としてのオペラ・コミック
 「喜劇的オペラ」の変遷
 「真実の描写」への志向
 「滑稽」の否定
 黄昏の時代からオペレッタへ
2 2つのジャンルの類似点
 ジャンルの分類方法
 独特の歌唱形式
 アリエットからロンドへ
 ヴォードヴィルとの関係
3 歌唱形式の美学的特徴
 音楽的な時間とは
 各歌唱形式とドラマ的効果
 循環する時間《美しきエレーヌ》と《ジェロルステイン大公妃殿下》を例に
 「夢幻オペレッタ」作品の有節歌曲

第4章 音楽の「滑稽」その美学的価値の発見
1 音楽模倣論と喜劇的描
 18世紀末の音楽模倣論とオペラ・コミック
 19世紀以後の「音楽と対象」
 オペレッタの笑いへ
2 ユーモアと音楽
 ユーモアの美学とオペレッタ
 音楽的ユーモアの理論
3 音楽的ユーモアの例
 アプローチの方法
 相対的音楽ユーモア
 絶対的音楽ユーモア
 身体的な音楽の喜劇性

第III部 オッフェンバックの「夢幻オペレッタ」——その芸術性と社会的意義

第5章 イメージの源流としてのファンタジー
1 オペラの超現実をめぐって
 ファンタジーの起源
 メルヴェイユーへの批判
2 超現実への支持
 真実の描写とメルヴェイユー
 「寓話的なもの」への価値観
 コント,メルヴェイユー,バレエ

第6章 夢幻劇(フェリー)とは何か
1 夢幻劇の原点としてのメロドラム
 メロドラムの起源とその特徴
 想像され得る音楽
2 夢幻劇の特徴
 メロドラムと夢幻劇
 夢幻劇の印刷台本
 歌唱部分について
  (1)『青ひげ』と『500人の悪魔』
  (2)歌唱部分に見られる他ジャンルの要素
  (3)替え歌(パロディ)について
 オーケストラについて
 「夢幻オペレッタ」へ

第7章 「夢幻オペレッタ」の上演史——第二帝政から第三共和政の狭間で
1 「夢幻オペレッタ」創作の背景
 夢幻劇の舞台,ゲテ座
 夢幻劇の復活
2 《にんじん王》——「夢幻オペレッタ」第1作
 創作の経緯
 初演時の豪華な舞台演出
 観客の反響と批評家による評価
 出演した歌手と俳優
3 《地獄のオルフェウス》過去のヒット作の改作版
 改作の経緯
 オペレッタから「オペラ」へ
4 《月旅行》常識を覆す「未来派オペラ」
 斬新な舞台演出
 音楽的な特殊性
5 オペラの潮流と「夢幻オペレッタ」への評価
 自然主義の台頭
 「超現実」への批判
 ゾラの影響
 遺作《ホフマン物語》

第8章《にんじん王》の世界——台本と音楽に見られる多様性
1 台本の特徴
 夢幻劇らしい「幻想性」
  (1)登場人物とあらすじ
  (2)舞台設定と演出
  (3)ホフマン文学との関わり
 19世紀後半特有の「現在性」
  (1)社会構造と登場人物
  (2)科学技術と自然科学
 「ボナパルティスト的」な風刺
2 初演版の「謎」
 出版台本とヴォーカルスコア
 2つの出版台本に隠された意味
3 音楽の夢幻劇らしさ
 未知のオーケストラ部分
 「キリビビ」の場面を例に
4 音楽が織りなすドラマトゥルギー
 オペレッタの分析方法
  (1)「音楽モティーフ」とは何か
  (2)2つの「時間」の質
 《にんじん王》の音楽とドラマ
  (1)ドラマティックな時間
  (2)音楽的な時間
  (3)折衷主義的な手法
5 音楽の「グロテスク」
 相対的な視点から
 絶対的な視点から
 音楽的ユーモアの芸術

結  論
 「風刺的」作品としての《にんじん王》
 「ミドルカルチャー」の誕生
 おわりに
  「気晴らし」の芸術
  後のオペラ史における意味

付  録
  第Ⅱ部参考資料
  第Ⅲ部参考資料
  譜例集_
  譜例集

参考文献
  主要参考文献
  使用した台本,楽譜,19世紀の雑誌,図版など

あとがき
索  引
英文要旨

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