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写真:トルストイと「女」
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トルストイと「女」
博愛主義の原点

佐藤 雄亮 著

A5判 340ページ

4,000円+税(2020年7月9日発売予定)

ISBN:978-4-657-20804-0

amazon.co.jp

作品概要

幸福な家庭と理想的世界を結び付け、夢見たレフ・トルストイ。その生涯は、幼い頃死別した母をはじめ、多くの女性たちによって彩られていた。女性たちとの体験は、『戦争と平和』『アンナ・カレーニナ』『見知らぬひと』など数々の名作にどのように反映されているのだろうか。
「女性」はトルストイの博愛主義の原点といえるが、これまでトルストイの女性遍歴はタブー視されてきた。このタブーに果敢に挑み、名作の新たな解釈を試みた画期的研究。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

1960年,山形県に生まれる。1995年,早稲田大学大学院文学研究科博士課程退学。現在,モスクワ大学付属アジア・アフリカ諸国大学日本語科上級講師(専任)。専門は,トルストイを中心とする19世紀ロシア文学。「前期レフ・トルストイの生活と創作――作家の「内なる女性像」から生じた問題とその解決を中心に」で,2016年に早稲田大学から論文提出により博士(文学)取得。
著書に,『選文読本――日本語参考書』(リュボーフィ・オフチンニコワと共著,モスクワ大学出版,2012年),藤沼貴『トルストイと生きる』(共編著,春風社,2013年),ロシアで刊行されたトルストイ事典,『レフ・トルストイと同時代人』(パラード出版,2008年),『事典レフ・ニコラエヴィチ・トルストイ』(プロスヴェシェーニエ出版,2009年)への項目執筆多数,などがある。

目次など

 序論
  1 アプローチと仮説  
  2 先行研究  
  3 トルストイの主要な評伝について  

第1部 カフカス

 第1章 『幼年時代』における終生のテーマ――母の愛と魂の不滅を確信するが,いかに生きるべきかはわからない……
  1 『幼年時代』の不滅の「歌」  
  2 「思い出に似たあるもの」  
  3 一つの予感  
  4 ママンという「歌」の特異な性格  
  5 『幼年時代』の創作過程とママン像の変遷  
  6 ウサーヂバとしてのヤースナヤ・ポリャーナ  
  7 トルストイの本当の生い立ちは
  
 第2章 創作開始にいたるまでの試行錯誤
  1 大学時代――「実験」の開始  
  2 帰郷からカフカス行きまで――創作という新たな「実験室」  

 第3章 初期創作の到達点と限界点
  1 『襲撃』――真の勇気とは  
  2 『森を刈る』――兵士のキリスト  
  3 カフカスの高みとは  

 第4章 「女」と現実の不条理にぶつかる
  1 理想の女性像  
  2 袋小路  

 第5章 現実そのものを変える――農業経営と教育活動と恋愛
  1 トルストイの農奴解放の試み――地主と農民の再生を目指すも挫折  
  2 教育活動――子供の生命の発見  
  3 農婦の愛人――アクシーニャ・バズイキナ 
 
 第1部のまとめ

第2部 1812年と『戦争と平和』

 第6章 1812年――祖国戦争の真実と夢
  1 史実とかけ離れた『戦争と平和』  
  2 祖国戦争の真相  
  3 「大きな愛」による神話化  

 第7章 『戦争と平和』論――夢と夢の出会い,そして生命の誕生
  1 『戦争と平和』における生命の秘密とは――「水滴でできた地球儀」  
  2 物理的世界を超える水滴  

 第8章 「作者の逸脱」と視点の問題
  1 「概括」と「細かさ」のジレンマ  
  2 「概括」と「細かさ」とはなにか  
  3 『戦争と平和』のジレンマ  
  4 作者の絶えざる逸脱  
  5 先行研究の問題点  
  6 主人公ピエールにおける多次元的統一  
  7 概括と細部の融合――細部に宿る神  
  8 「細かさ」の消滅  
  9 「細かさ」のないルポ  
  10 文学からの逸脱  

 第2部の結びにかえて――ヴィクトル・シクロフスキー『『戦争と平和』の素材と文体』

第3部 『アンナ・カレーニナ』

 第9章 明から暗への転換の背景
  1 トルストイは「殺人者」か――二つの悲恋に関する藤沼貴氏の未発表の説  
  2 兄セルゲイと義妹タチアーナの恋,そして彼女の自殺未遂  
  3 妹マリアの不倫の恋――トルストイは義弟を死に追いやった?  
  4 「アルザマスの一夜」と,もう一人のアンナの鉄道自殺 
 
 第10章 後期トルストイの誕生
  1 「女性的なるもの」を殺し,葬る  
  2 カレーニンについて――トルストイのもう一つの自画像  
  3 19世紀ロシアの離婚事情について  
  4 アンナが乗った鉄道――トルストイが女性性を葬った場所  
  5 28という数字――アンナ・カレーニナとトルストイの宿命  

 第11章 『見知らぬ人』はアンナ・カレーニナか――レフ・トルストイと画家イヴァン・クラムスコイ
  1 モデルはだれか  
  2 20世紀になってエチュードを発見  
  3 あまり検討されてこなかった文学起源説  
  4 クラムスコイとトルストイの出会い  
  5 クラムスコイの生い立ちと経歴――画家は語る  
  6 絵画は単なる絵画にあらず  
  7 『アンナ・カレーニナ』を地で行く三角関係  
  8 『アンナ・カレーニナ』にも痕跡  
  9 1883年という年  
  10 『見知らぬ人』とアンナ・カレーニナ  
  11 赤と黒  
  12 流行の先端を行く装い  
  13 謎を解く鍵は絵の背景に  
  14 運命の日  
  15 二つのテーマ――アンナに自分を見る  

 結論
  1 本書のコンセプトとオリジナリティー  
  2 トルストイの見た目の奇矯さに躓くなかれ  
  3 まとめ――幼年時代の光と闇を食い尽くす  

 あとがき  
 文  献  
 索  引  
 英文要旨  

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