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後漢時代の蜀、すなわち現在の四川地域でつくられた鏡、および画像石や石闕などの石造遺物には、独特の図像表現がみられる。「官営工房の動向」と「儒教の礼教主義」という2つのトピックから、この時代の四川地域で作られた造形美術にみられる独特の表現形式の経緯を探る。掲載写真多数。
1977年生。日本学術振興会特別研究員PD。
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了、博士(文学)。
主な論文に「後漢時代四川地域における聖人図像の表現―三段式神仙鏡の図像解釈をめぐって」(『美術史』第163冊、2007年)、「漢代画像石にみる荊軻刺秦王図―義士の英雄化と神仙化の契機をめぐって」(大橋一章博士古稀記念会編『大橋一章博士古稀記念美術史論集 てら ゆき めぐれ』中央公論美術出版、2013年)など。
まえがき
緒 論 四川の造形美術と地域文化
第一部 銅鏡の生産体制と官営工房の動向
序 章 後漢鏡研究における四川という極
第一章 広漢郡製作の紀年鏡の資料的意義
第二章 広漢郡製作の元興元年銘鏡の製作事情―紀年の偏在に関する考察その一―
第三章 桓帝・霊帝代の作例の製作事情―紀年の偏在に関する考察その二―
終 章 広漢郡製作鏡の意義と官営工房の動向
第ニ部 漢代画像と儒教の礼教主義
序 章 儒教による支配と図像表現にみる地域色
第一章 四川における「聖人」の一表現―三段式神仙鏡の図像解釈をめぐって―
第二章 漢代画像にみる聖帝像の機能
第三章 仏教受容前夜の四川―その死生観に関する図像学的考察―
第四章 漢代画像石にみる荊軻刺秦王図―義士の英雄化と神仙化の契機をめぐって―
終 章 画像資料からみた儒教的徳目実践の目的
結 論 後漢の美術における四川の位置付け
あとがき
図版一覧
テキスト出典
索引
英文要旨