ホーム > 政治経済・法律・ビジネス > 内部労働市場とマンパワー分析
大企業における管理や規則が、労働市場の機能を体現する「内部労働市場」。この内部労働市場は、雇用制度・熟練技術・資格取得等に至るまでいかなる影響を及ぼすのか。アメリカの内部労働市場を詳細に分析し、きわめて高い評価を受けている古典的名著の翻訳。
日本においては、とかくアメリカの労働市場はもともと人材の移動の激しい「流動的な」ものという誤解が流布している嫌いがあるが、本書を読むことにより、実態と先入観との違いに愕然とするかもしれない。このような誤解が存在することは、本書の初版が35年前に書かれたことを考えると、むしろ残念という気がする。
そういう意味で今日においても本書は労働や人的資源管理の研究者、実務家、学生にとって必読文献としての意義を失っていない。しかも本書は1985年版によるものであるため、序章にはその後の研究や実態の展開についての筆者たちの見解が示されており興味深いものである。
本書は、1971年の旧版の出版直後から各国の研究者、実務家、ならびに政策立案者に大きな影響を与えてきた。「内部労働市場」という用語が、広く普遍性を持って使われるようになったことは本書による貢献の1つである。
労働市場システムの転換が進む日本において本書を読むことにより大きな示唆を得ることができよう。
(監訳者:白木三秀)
序 章 旧著『内部労働市場とマンパワー分析』に関する再考
第1章 序論
第Ⅰ部 内部労働市場の理論
第2章 内部労働市場の起源
第3章 内部労働市場における配分構造
第4章 内部労働市場内における賃金決定
第Ⅱ部 マンパワー分析
第5章 労働市場の不均衡と人員調整
第5章付録 内部調整プロセスの数量的指標
第6章 技術変化と職務内容における調整
第7章 内部労働市場における人種差別
第8章 低所得雇用と不利な立場の労働力
第8章付録 低所得労働市場における労働者の非定着性に関する定量的分析
第9章 要約と結論