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株式については、ある種の所有権性が認められるというのが、これまでの通説・判例であった。しかしこの考え方は、激しく変動する現代社会のなかで見直しを迫られているのではないか。英米法の議論をふまえつつ、暗号資産の法的性質にも論及した最新研究。
【訂正情報】本書のはしがきにおきまして、誤りがございました。お詫びのうえ、下記の通り訂正させていただきます。
正誤表(変容する現代社会と株式の法的性質).pdf
2020年,早稲田大学大学院法学研究科研究指導修了退学,博士(法学)。
1977年,日産自動車(株)入社。海外部,欧州部,財務部,部品事業部などを経て,1991年より欧州の海外子会社で7年間勤務。1998年,本社帰任後,「日産リバイバルプラン」や「日産180」計画などコーポレート・プロジェクト・メンバーの一員として,カルロス・ゴーンCEOが推進した子会社・関連事業売却,AT(自動変速機)事業再編や中国東風汽車集団との合弁会社設立交渉など様々な事業再編案件を担当。CEOオフィスでのCFT活動事務局やLCV(小型商用車)事業部の立ち上げに参画後,2005年,初のM&A活動専門部であるM&A支援部を設立。事業買収・売却や組織再編案の発掘・審査・提案・実行の責任部署として様々な案件を推進。手がけた案件は累計200件を超える。この経験から,株式会社とは何か,株式とは何かについての法学研究を志す。2013年,日産自動車(株)退職。
亜細亜大学法学部非常勤講師,早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター招聘研究員。
序章 問題の所在と本書の検討方法・構成
第1編 イギリス会社法における株式の法的性質
第1章 株式会社および株式の性質
第1節 ジョイント・ストック・カンパニー
第2節 コーポレーション
第3節 株式の法的性質
第4節 無体動産としての株式の性質
第5節 イギリス会社法の規定――株式の動産性と譲渡可能性
第6節 株式の法的性質の変化の契機
第7節 政治的・社会的環境の影響
第8節 小括
第2章 株主はpart ownerか
第1節 イギリスにおけるpart ownerとproprietary
第2節 ジョイント・ストック・カンパニーにおけるpart owner
第3節 船舶共有関係におけるpart owner
第4節 コーポレーション概念の定立
第5節 小括
第2編 アメリカ会社法における株式の法的性質
第3章 株式はpropertyか
第1節 株式の多様な特徴
第2節 アメリカ法上のproperty
第4章 人的財産としての株式
第1節 株式の脱物質化(dephysicalized)と流通性の要求
第2節 人的財産の意味と集団的関係
第3節 無形人的財産
第4節 株式の自由譲渡性
第5章 株式の法的性質から生じる法的諸問題
第1節 課税対象の認定
第2節 現物資産を持たない会社や持株会社における株式の所有関係の変容
第3節 株主権の変容
第4節 小括
第3編 日本の会社法において株式の所有関係の変容を示唆する事例
第6章 株式の法的性質――トヨタAA型種類株式
第1節 AA型種類株式の概要
第2節 AA型種類株式の法的問題
第3節 本来あるべきAA型種類株式の種類株主総会
第4節 小活
第7章 株式買取請求権制度における「非流動性ディスカウント」の示唆
第1節 株式買取請求権制度と株式の法的性質
第2節 「非流動性ディスカウント」
第3節 小括
第8章 暗号資産の法的性質――暗号資産は無体動産か
第1節 暗号資産の法的性質
第2節 無体動産概念と暗号資産との関係
第3節 暗号資産についての無体動産以外のイギリスおよびアメリカにおける諸見解
第4節 小括
終章 本書のまとめと株式の所有権性の再検討の方向性
参考文献
初出一覧
索引
英文要旨