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写真:中国古代の社会と黄河
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中国古代の社会と黄河

濱川 栄 著

A5判 476ページ

本体 5,500円+税

ISBN:978-4-657-09402-5

amazon.co.jp

作品概要

中国の象徴とも言える、黄河。幾多の災害をもたらす一方、その泥砂で華北に大平原を形成してきたこの大河は、中国古代の歴史といかなる関わりをもっていたのであろうか。古くて新しいこの問題について多角的に分析し、黄河の役割やその役割を改めて検証する。

【教科書・参考書指定】 東京大学文学部
【『史學雜誌』第119編第3号(史學會)に書評掲載。評者:原宗子氏】

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

 中国の象徴とも言える、黄河。幾多の災害をもたらす一方、その泥砂で華北に大平原を形成してきたこの大河は、中国古代の歴史といかなる関わりをもっていたのであろうか。本書は古くて新しいこの問題について多角的に再検討し、新たな理解を示したものである。
 本書は、古代の華北における大規模灌漑施設の不可欠性を根拠に皇帝専制体制成立の必然性を説く従来の通説を否定する。その上で本書があらためて注目するのは、黄河がつくり出した大平原そのものの意義である。一望千里のこの大平原は、周辺山間部から多様な人間集団を招き寄せ、活発な人的・物的交流を促す空間であった。そこに生じる幾多の利害対立を調整するために、強力な政治権力が希求されていく。秦・漢統一王朝の成立はその帰結であった。しかし、黄河の水害自体、さまざまな利害の対立を引き起こす重大な要因となる。以後の中国諸王朝は、黄河の治水という極めて解決困難な重荷を背負わされ続けるのである。

目次など

第一部 中国古代帝国の成立に果たした黄河の役割
 第一章 「水の理論」をめぐる学説史の流れ
 第二章 黄河変遷史概観

第二部 戦国・秦代の大規模灌漑機構をめぐる諸問題
 第一章 漳水渠の建造者をめぐる二説について
 第二章 鄭国渠の灌漑効果とその評価をめぐる問題について

第三部 前漢時代の黄河問題とその影響
 第一章 瓠子の「河決」
       ―前漢・武帝期の黄河の決壊
 第二章 瓠子の「河決」と武帝の抑商
 第三章 徙民七〇万人と黄土高原
       ―前漢・武帝期における黄土高原の環境と開発
 補論  ト式再考
       ―漢代の一牧羊業者の実像を求めて

第四部 両漢交替期の黄河問題と社会状況
 第一章 両漢交替期の黄河の決壊について
 第二章 両漢交替期の黄河の決壊と劉秀政権
 第三章 五行志と溝洫志
       ―『漢書』の河災記事に関する一試論

第五部 「王景の治水」以降の黄河下流域と黄河問題
 第一章 『水経注』に見える「絶」について
       ―漢~北魏時代の黄河下流域の環境と社会
 第二章 漢唐間の河災の減少とその原因
       ―譚其驤説をめぐる最近の議論によせて
 終章  黄河と中国古代史
       ―特に黄河下流域という「空間」の古代帝国形成期における意義について

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