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写真:霞ヶ浦の環境と水辺の暮らし
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霞ヶ浦の環境と水辺の暮らし
パートナーシップ的発展論の可能性

鳥越 皓之 編著

A5判 264ページ

本体 6,500円+税

ISBN:978-4-657-10210-2

amazon.co.jp

作品概要

水に関わる環境問題は世界的規模で関心を集めている。淡水不足という「水の量」の問題、水の汚染という「水の質」の問題、さらに「水と人間との関係」の急激な変化の問題、という3つにそれは要約できる。
本書は霞ヶ浦を対象にした社会科学分野でのはじめての本格的な研究書である。琵琶湖の研究はかなりの研究蓄積があるが、日本での2番目の大きさであるこの霞ヶ浦については、どういうわけか本格的な研究が今までなかったのである。したがって本書のもつ意味は大きい。日本の湖を社会・人文科学的に研究する場合の不可欠な書になるだろう。
霞ヶ浦の個別課題を分析するだけではなくて、副題にあるように、本書は開発論の一種である「パートナーシップ的発展論」を提案している。地域コミュニティを基盤とした新しい発展論である。それは内発的発展論の系譜に入るだろうと想定される発展論となっている。
本書は霞ヶ浦についての環境社会学者による実証的な研究であるが、「水と人間との関係」の変化が「水の質」を悪化させ、また淡水の無駄遣いによる「水の量」の問題を引き起こしているという立場にたっている。そのため水と人間との関係というところに分析の焦点を定めている。
その分析にあたっては、開発の型の分析からはじまって、コミュニティのローカル・ルール、住民の環境意識、ボランティアとNPO、漁業技術史、遊びと労働の環境史、コミュニティにおける水の利用の歴史など多様な分野を手がけている。

【『週刊読書人』第2870号(2010年12月24日)の第3面「2010年回顧/動向収獲」の「社会学」の項で紹介。筆者:好井裕明氏(筑波大学大学院教授)】

目次など

まえがき
第1章 霞ヶ浦における三つの開発の型
第2章 子どもの活動からみたローカル・ルール
第3章 水辺の遊びと労働の環境史
第4章 漁場の利用と漁業技術
第5章 水辺コミュニティにおける水利用史
第6章 霞ヶ浦の水神信仰と祭祀の担い手
第7章 水質浄化のボランティア
第8章 水辺の都市のボランティアとNPO
第9章 霞ヶ浦の湖畔住民の環境意識
第10章 パートナーシップ的発展論の可能性
あとがき

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