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写真:制度変革の政治経済過程
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制度変革の政治経済過程
戦前期日本における営業税廃税運動の研究

石井 裕晶 著

A5判 504ページ

本体 8,500円+税(2014年4月25日発売)

ISBN:978-4-657-14702-8

TSUTAYA
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作品概要

明治・大正期、営業税廃税運動の要求が実現するまでの政治過程および、その背景にある政治経済構造を、多数の史資料を渉猟して得た事実をもとに緻密に考証する。とりわけ、本研究で筆者によって発見された「減税のパラドックス」は、戦前期における日本政党政治の研究に大きな一石を投じるものである。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

「昨日のパラダイムを転換させる研究に出会ったかと思うことがある。本書(注)は、三谷太一郎氏や坂野潤治氏を中心に発展してきた政党政治史研究とは全く異なる視角から、真っ新な政治経済史像を提示する可能性のある衝撃の書である。」 『社会経済史学』第79巻第4号(2014年2月)(社会経済史学会)に書評掲載。評者:松浦正孝氏(立教大学法学部教授)
(注:本書のもととなったモノグラフ。本書はモノグラフの内容をさらに発展充実させたもの)

「本格的な研究が少なかった分野である。そうした意味でも本書(注―同上)の研究史上の意義は高い。」 『日本歴史』第787号(2013年12月)(吉川弘文館)に書評掲載。評者:鈴木勇一郎氏(立教大学立教大学史資料センター)

「国と業界団体が課税の外形標準などを巡りせめぎ合うさまは消費税創設時の簡易課税や免税点などの論議と似ていて興味深い。」 2014年6月1日 日本経済新聞

「選挙権は納税額によって決まる制限選挙だった。この撤廃を求める普通選挙(普選)運動がくり広げられた。政治的平等を求める動きだった。25年に男子普選法が成立する。ここで局面が変わる。
 当時の税と政治の関係を解き明かした『制度変革の政治経済過程』の著者で、内閣府政策統括官をつとめた石井裕晶氏は解説する。
 「制限選挙のもとでは、地租を軽減すると、政友会の支持基盤である農村地主の有権者数が減り、選挙が不利になる『減税のパラドックス』があった」
 「制限選挙を維持することが政友会の議席の維持・拡大に不可欠だった。原敬はいちばんよく分かっていたから普選に反対だった」
 「普選実施で都市や低所得者の有権者数が大幅に増え、政友会による安定多数の支配構造が崩壊した」
 政治的平等が権力構造を突きくずしたのだった。」2015年1月5日 日本経済新聞 「核心」にて紹介。執筆者:芹川洋一(日本経済新聞論説委員長)

「個人の研究書でも、長い期間を対象に一定の視点から論じたものが目立った。(中略)このうち、特に税制に着目したのが石井裕晶『制度変革の政治経済過程』(早大出版部)である。商工業者の間での営業税撤廃運動(一八九七~一九二六年)が盛んであったことはよく知られているが、それは外形標準課税であったことが大きな動機になっていたことを本書は明らかにしている。」 『史学雑誌』第124編第5号(2015年5月)(史学会)に書評掲載。評者:季武嘉也氏(創価大学文学部教授)

目次など

第一章 序論――制度変革の複合性   
 第一節 営業税廃税運動について
 第二節 先行研究の動向
 第三節 分析の視角   
 第四節 主要な論点と結論の概要    
 第五節 関連研究・発表 

第二章 営業税の国税化と反対運動(一八九〇年―一八九九年)――廃税運動の起源
 第一節 営業税の国税化 
 第二節 各地の紛擾と営業税廃税意見   

第三章 日露戦後の財政運営と営業税法改正(一九〇六年―一九一〇年)――三税廃止から営業税減税へ  
 第一節 日露戦後の財政運営方針 
 第二節 桂内閣の財政運営 
 第三節 税制整理の実施と営業税の減税   

第四章 一九一四年の営業税廃税運動(一九一三年―一九一五年)――運動の全国的展開
 第一節 行政整理による剰余金問題 
 第二節 営業税廃税運動 
 第三節 大隈内閣の成立と廃税運動の中止   

第五章 一九二二年の営業税廃税運動(一九一九年―一九二三年)――海軍軍縮から営業税減税へ   
 第一節 ワシントン海軍軍縮条約と営業税廃税運動の開始 
 第二節 利益団体の動態 
 第三節 営業税の減税をめぐる政治過程   

第六章 大正末期の営業税廃税過程(一九二五年―一九二六年)――外形標準課税から収益課税へ   
 第一節 営業税廃税運動と政府の税制整理方針の発表 
 第二節 営業税の収益税化に対する利益団体の対応 
 第三節 営業税の廃止と営業収益税の成立 
 第四節 営業税廃税の効果 
 第五節 営業収益税のその後   

第七章 営業税廃税運動の政治経済構造   
 第一節 経済的原因、利益団体の動態、財政税制政策 
 第二節 就業構造、税と選挙権の関係  
 第三節 「減税のパラドックス」と営業税廃税運動の政治過程 

第八章 補論:普通選挙法の成立過程再考――税と選挙権の関係からのアプローチ
 第一節 都市部の選挙権拡大の検討 
 第二節 原敬による衆議院の多数支配体制の確立 
 第三節 政友会の地租委譲公約 
 第四節 中間内閣による普通選挙法案の推進 
 第五節 普通選挙法の成立以降   

 あとがき  
 人名索引  

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