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21世紀型能力の育成を目指した日本語教育が実践できる教師は、どのように育成するか。
21世紀型能力というものを唱えながら、実際に行われているのはむしろそれとは反対のことではないか。ほかならぬ教師こそが、あるいは教師を教育するものこそが、「新しい」能力、21世紀型能力というものを掲げているにもかかわらず、それとは正反対の旧来型の能力観や価値観を再生産し、強化しているのではないか。
この現状を変え、日本語教育の場で21世紀型能力の教育を真に実現するための日本語教師研修モデルを提示する。
1993年より民間日本語学校で日本語教師としての活動を開始。2003年からは国際交流基金派遣日本語上級専門家として北スマトラ大学,シドニー日本文化センター,ダマスカス大学,スラバヤ国立大学,マニラ日本文化センターに赴任。その後は東北大学高度教養教育学生支援機構非常勤講師,福島大学国際交流センター特任准教授,国立国語研究所日本語教育領域プロジェクト非常勤研究員等を務め,2020年4月より長崎外国語大学外国語学部国際コミュニケーション学科特任講師。東京外国語大学で修士(言語学),中京大学で修士(認知科学),早稲田大学で博士(日本語教育学)の学位を取得。
序 章
1 目的と問題の所在
2 リサーチ・クエスチョン
3 構成
4 方法
5 本研究の位置付け
第1部 現状と課題
第1章 21世紀型能力の教育と日本語教育
1 21世紀型能力とは
2 言語教育における能力観の変化と展開
3 21世紀型能力の教育としての日本語教育の現状
4 小括
第2章 21世紀型能力――その背後にある理論と考え方
1 「批判」に対する動き
2 「新たな動き」の背後にある理論
3 小括
第3章 21世紀型能力の教育と教師研修
1 教師をめぐる議論と理論
2 21世紀型能力の教育における教師研修,教師養成の動向とその実際
3 21世紀型能力の教育における日本語教師研修,教師養成の近年の動向
4 まとめと考察
5 小括
第2部 「モデル」の構築
第4章 「モデル」という考え方とその構築方法
1 本章の目的
2 モデル構築の方法
第5章 モデルの構築に向けて――過去の実践とその分析
1 ケース1:オーストラリアでの現職日本語教師研修
2 ケース2:インドネシアの大学院での現職日本語教師を対象とした授業
3 ケース3:インドネシアの高校日本語教師会でのソフトシステム方法論の考え方を取り入れた活動計画の作成
4 ケース4:フィリピンでの対話型日本語教師研修
5 小括
第6章 モデルの構築とその検証
1 目的と手順の確認
2 モデルの構築
3 小括
第3部 まとめと考察
第7章 21世紀型能力再考――なぜ言語教育,日本語教育なのか
1 ここまでのまとめ
2 モデルの使用案
3 考察:モデルに対する問いとそれへの回答
4 小括:「原則」としての「モデル」と表裏一体をなすものとしての言語観,教育観
第8章 結論と今後の課題
1 結論
2 本研究は何を乗り越えたか
3 まとめと今後の課題
4 おわりに:「課題」に向けて
あとがき
参考文献
索引
英文要旨