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ホーム > 文学・芸術, 新刊案内, 演劇 > 青騎士の誕生

写真:青騎士の誕生
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青騎士の誕生

小林 奈央子

A5判 口絵(カラー)8ページ 本文312ページ

本体 3,600円+税

ISBN:978-4-657-11009-1

amazon.co.jp

作品概要

 古い世紀が終わり、新たな世紀の始まるその時、ひとりの芸術家が、加速する世界において奔走する人類の精神へ糧をあたえる—精神的なもののために闘う騎士として立ち上がった。その騎士は青色、大きな姿で、十字架を背負うキリストさながら、肩には巨大な赤い梁を担いでいる。騎士はその重荷を引きずりながら、ただ独り砂浜をあゆむ。彼はすべての人類のために、精神の糧としての芸術を創造する。その芸術はすべての人びとに共通の言語—抽象的な色彩と形態—で創られる。
 このヴィジョンは、20世紀を代表する抽象画家カンディンスキー(Wassily Kandinsky, 1866-1944)の一幕劇《後奏曲》で現れる情景である。実際には、大きな青い男が誰であるのか、また、男が何をしているのかを、作品から知ることはできない。なぜなら、抽象芸術家カンディンスキーの舞台作品は、抽象的な色と形でしか語らないからである。本書は、カンディンスキーの、色と形が織りなす舞台総合芸術〈舞台コンポジション〉の作品研究である。

―本文より

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

カンディンスキーの絵画作品をはじめとした19点のカラー図版と29点のモノクロ図版を収録。

著者紹介

小林 奈央子(こばやし なおこ)
2002年 早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了
2006年 ルードヴィヒ=マクシミリアン大学(ミュンヘン)博士課程単位取得退学
2008年 早稲田大学大学院文学研究科博士課程満期退学
2010年 ルードヴィヒ=マクシミリアン大学(ミュンヘン)博士課程修了(哲学博士)
現在 ハンブルク在住
専攻 ドイツ近現代舞踊史・美術史
著書 『舞踊学の現在 芸術・民族・教育からのアプローチ』(文理閣,2011年,共著),Wassily Kandinskys frühe Bühnenkompositionen: Über Körperlichkeit und Bewegung(Berlin: De Gruyter, 2012年刊行予定)

目次など

刊行によせて/竹本幹夫
序論
第Ⅰ部 〈舞台コンポジション〉の身体
 第1章 身体像—舞台における“精神的なもの”
  第1節 生きた絵の世界へ—“民族の魂”を語る民俗衣裳
  第2節 希薄な身体性―メーテルランクの人形のための戯曲
  第3節 神像の末裔—クレイグの“ユーバーマリオネット”
  第4節 “精神的なもの”と身体—神智学の図像世界
  第5節 ロシア的アイデンティティ—神聖なるイコン
 第2章 具象と抽象に揺れる身体性
  第1節 登場人物の演劇学的概観
  第2節 身体像の記号学的解釈
  第3節 物質/精神の指標としての身体性

第Ⅱ部 初期〈舞台コンポジション〉の運動
 第3章 “運動”のメタファーと総合芸術の構想
  第1節 メタファーとしての“運動”
  第2節 “運動”から総合舞台芸術へ
  第3節 “運動”スコアの使用
 第4章 〈舞台コンポジション〉の新たな身体運動
  第1節 造形芸術と舞踊芸術の接近
  第2節 造形芸術における運動言語と“パトス形式”
  第3節 静的な運動と絵の連続
  第4節 身体運動の独立性
  第5節 抽象舞踊の形式「ダンスコンポジション」
  第6節 “肉体的なもの”の排除
  第7節 神秘的言語としての身体運動
  第8節 様式化された身体運動
 第5章 〈舞台コンポジション〉の動的記号
  第1節 絵画における身体運動の機能
  第2節 初期〈舞台コンポジション〉作品における動的記号
  第3節 動的記号と身体性

第Ⅲ部 作品分析—終末世界と青騎士の誕生
 第6章 動機解釈の指針
  第1節 キリスト教図像学ならびに“啓示”信仰
  第2節 色彩理論
  第3節 民間伝承ならびに迷信
  第4節 文学作品
 第7章 《舞台コンポジションⅠ 巨人たち》分析
  第1節 《第Ⅰ景》 5人の預言者とケルビム
  第2節 《第Ⅱ景》 殉教者たちの列と黄色い花
  第3節 《第Ⅲ景》 ダビデのイスラエル建国と赤い輪舞
  第4節 《第Ⅳ景》 神殿で幼子イエスを祝福する老シメオン
  第5節 《第Ⅴ景》 キリスト磔刑・預言の成就
  第6節 《黄色い響き》への発展
  結論 啓示を告げる黄色い調べ
 第8章 《舞台コンポジションⅡ 声(緑の響き)》
  第1節 《第Ⅰ景》 キリストの変容
  第2節 《第Ⅱ景》 エクレシアとシナゴーグ
  結論 緑の響き—エクレシアとシナゴーグのユニゾン
 第9章 《舞台コンポジションⅢ 黒と白》
  第1節 《第Ⅰ景 白》 消えたマリア図像の奇跡
  第2節 《第Ⅱ景 黒》 十字軍と異教徒の戦闘
  第3節 《第Ⅲ景 黒と白》 マリア永眠図・灰色の誕生
  第4節 《第Ⅳ景》 黒騎士の安息・マリア聖燭祭と青い鳥
  結論 東洋と西洋の間で
 第10章 《舞台コンポジションⅣ 黒い人》
  第1節 《第Ⅰ景》 三日月と民俗衣装を着た8人
  第2節 《第Ⅱ景》 失楽園の恋人たち
  第3節 《第Ⅲ景》 天国への船出
  第4節 《第Ⅳ景》 天国のバラの輪舞・婚礼介添人の入場
  第5節 《第Ⅴ景》 モミの森・選ばれし未来の騎士
  結論 終末世界の婚礼とその後継者
 第11章 《(音楽のない)後奏曲》
  《後奏曲》 精神の時代へ
  結論 青騎士の誕生
結論
あとがき
引用参考文献
図版目録
人名索引

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