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写真:人形浄瑠璃のドラマツルギー
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人形浄瑠璃のドラマツルギー
近松以降の浄瑠璃作者と平家物語

伊藤 りさ 著

A5判 404ページ

本体 7,400円+税

ISBN:978-4-657-11713-7

amazon.co.jp

作品概要

 近松門左衛門以降、17世紀後半から18世紀末までの約115年間に作られた源平物人形浄瑠璃において、平家物語の説話はどう取り入れられていったのか。豊富な資料と知識をもとに、これまでの先行研究にみられるような単なる典拠論をはるかに超えた浄瑠璃作劇法論を展開。
 18世紀浄瑠璃研究に確実な進展をもたらす一冊であり、浄瑠璃・歌舞伎研究者にとって必携の書であることはもちろん、平家物語研究者にとっても一読の価値がある貴重な研究書である。

第44回 日本演劇学会河竹賞奨励賞受賞。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

―本書刊行によせてより
 伊藤りさ氏の『人形浄瑠璃のドラマツルギー ―近松以降の浄瑠璃作者と平家物語―』を、浄瑠璃(文楽)と、歌舞伎と、平家物語に関心を持つすべての読者に、必ず役に立つ本としておすすめしたい。
 ここで扱われる源平物は、浄瑠璃という演劇ジャンルの主流であり、浄瑠璃作品を歌舞伎に移した義太夫狂言の主流でもある。源平物浄瑠璃をめぐっては、多くのすぐれた先行研究があるが、十七世紀後期から十八世紀末まで約百十五年間の義太夫節人形浄瑠璃の戯曲史を縦糸とし、中世の平家物語諸本と周辺史書、史料、文芸を横糸として織り上げた体系的な源平物浄瑠璃研究は、本書をもって最初とする。
早稲田大学名誉教授 内山 美樹子

著者紹介


伊藤 りさ(いとう りさ)
早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。専攻は日本近世演劇(義太夫節人形浄瑠璃)。現在,国立国会図書館総務部総務課課長補佐。著書に『早稲田大学モノグラフ28 浄瑠璃と平家物語─源平物浄瑠璃の作劇法を巡って─』(早稲田大学出版部,平成22年),主要論文に「『一谷嫩軍記』試論─須磨の桜・笛・和歌─」『演劇博物館グローバルCOE紀要 演劇映像学2009 第4集』(早稲田大学演劇博物館グローバルCOEプログラム「演劇・映像の国際的教育研究拠点」,平成22年3月),「「実盛」という生き方─『源平布引滝』の作劇法を支えるもの─」『演劇映像』51(早稲田大学第一文学部演劇映像研究室,平成22年3月)等がある。

目次など

序章 説話から見た源平物浄瑠璃―前提としての平家物語とその説話世界―

 第一章 近松とその後継者たちによる軍記受容の様相
  第一節 貞享~寛保期の源平物浄瑠璃の作劇法の特色―近松・文耕堂・宗輔を中心に―
  第二節 『仏御前扇軍』論―近松と文耕堂の作劇法の差異に注目して―
  第三節 『鬼一法眼三略巻』三段目攷
  第四節 『ひらかな盛衰記』小論―『源平盛衰記』との関連を軸に―
  第五節 第一次豊竹座時代における宗輔の平家物語受容―『蒲冠者藤戸合戦』攷―

 第二章 義太夫節人形浄瑠璃最盛期のドラマツルギー
  第一節 延享・寛延期の源平物と平家物語―多様化する説話世界を踏まえた作劇の様相―
  第二節 竹本座時代の並木宗輔―出発点としての『軍法富士見西行』―
  第三節 『義経千本桜』と平家物語、『吾妻鏡』など
  第四節 『源平布引滝』―新たな作劇法への試み―
  第五節 「実盛」という生き方―『源平布引滝』の作劇法を支えるもの―
  第六節 『一谷嫩軍記』試論―須磨の桜・笛・和歌―

 第三章 宝暦期以降の源平物浄瑠璃における平家物語とその周辺
  第一節 平家物語受容の諸相―源平物の位置づけを巡り、俊寛の造形に及ぶ―
  第二節 源平物浄瑠璃と地域伝承―『菖蒲前操弦』『那須与市西海硯』を例に―
  第三節 源平物としての『祇園女御九重錦』―その浄瑠璃史的位置づけを巡って―
  第四節 説話解釈の定着と変容―局面と人物造形―

  附論 壬生村の石川五右衛門―方法論の展開としての『木下蔭狭間合戦』試論―
  結語 浄瑠璃と説話世界―広がる展開の可能性に向けて―
  付録 『平家物語』関連浄瑠璃一覧

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