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ホーム > 新刊案内, 自然科学 > 超高圧変成作用起源のダイヤモンド

写真:超高圧変成作用起源のダイヤモンド
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超高圧変成作用起源のダイヤモンド

小笠原義秀

A5判 112ページ

本体 1,905円+税

ISBN:978-4-657-09403-2

amazon.co.jp

作品概要

大陸プレートの深部沈み込みとH₂OとCO₂が決めたダイヤモンドの形成。著者による研究成果をもとに多くの実例を紹介しながらダイヤモンドの成因論の一つに関して詳細にかつ専門家以外の方にも分かりやすく解説する。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

 大陸プレートの深部沈み込みとH₂OとCO₂が決めたダイヤモンドの形成。本書は、著者による研究成果をもとに多くの実例を紹介しながらダイヤモンドの成因論の一つに関して詳細に解説したものです。書名に用いられている“超高圧変成作用起源”のダイヤモンドに関する世界で唯一、かつ最も詳しい解説書です。また、専門家以外の読者にもダイヤモンド研究の意義とその魅力を理解してもらえる内容も含まれています。
 肉眼で観察できない微細なダイヤモンドにも大きな科学的輝きがあります。天然のダイヤモンドには4つの起源が知られています。地球のマントル深部で億年単位の長時間をかけ“熟成”されてつくられた宝石になるダイヤモンド。太陽系形成前から存在し、超新星爆発起源とも考えられている微細なダイヤモンド。隕石衝突で発生する一時的な高圧条件下でできたダイヤモンド。そして、本書で取り上げる大陸プレートのマントル深部への沈み込み過程でつくられた超高圧変成作用起源のダイヤモンドです。いずれもまだまだ沢山の謎が残されています。
 プレートがマントルに沈み込むときに起こる大陸衝突にともなって地球表層物質も深部に運び込まれ、ダイヤモンドをつくり、それが地表に再び戻ってきた産物がダイヤモンドを含む超高圧変成岩です。顕微鏡を使って初めて見ることができる美しいマイクロダイヤモンド結晶の世界。いったいこのようなダイヤモンドはどうやってできたのでしょうか。
 本書では、変成作用起源ダイヤモンドの代表であるカザフ共和国コクチェタフ超高圧変成帯産のものを取り上げその特徴を詳しく紹介し、その成因を形成環境の観点から論じています。とても奇麗なマイクロダイヤモンドの顕微鏡写真が多数掲載され、極めて高いダイヤモンド含有量をもつ岩石も紹介されています。大陸起源物質がプレート運動に伴ってマントルに沈み込むときにどのような要因がダイヤモンドの形成を制御しているのか、その一端を理解することができるでしょう。ダイヤモンドとその関連研究が、プレートテクトニクススケールの地球物質大循環の解明につながり、地球の大きな謎解きに結び付くこともわかるでしょう。宝石としてだけではなく、地球内部の様子や地球物質大循環の一面を知る大変重要な手がかりとして、ダイヤモンドは惑星地球がその謎解きのために私たち科学者に贈ってくれた大切なプレゼントなのです。
                                                   (小笠原義秀)

目次など

1.はじめに―第4番目の起源のダイヤモンド―
2.超高圧変成作用と大陸衝突
3.変成作用起源マイクロダイヤモンドの産出例
4.カザフ共和国Kokchetav変成帯産マイクロダイヤモンド
5.ダイヤモンドのP-T-Xfluid安定性
6.炭酸塩岩中の変成反応とP-T経路の関係
7.Intraslab UHP Metasomatismモデルの提唱とダイヤモンドの形成
8.炭酸塩鉱物と流体とダイヤモンドそして地球物質大循環
9.まとめ

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