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本書は、日本とドイツ語圏の演劇・演劇文化について、そしてお互いの受容関係について、十名の研究者が書き下ろした論集であり、寄せ集めではなく、相互の内容に働き掛けあい相互の記述を参照しあいながらまとめられたものである。日本とドイツの直接の相互関係は明治維新以降にはじまるが、そこへ至る前史も扱われ、時代、空間、テーマなど、さまざまな「インタラクティヴ」が現われ出る。それぞれの筆者の文体の差は、世代の広がり、問題意識や関心領域の違いをきわだたせるとともに、読者とのインタラクティヴを期待・挑発しているようにも見える。目次には、映画『釣りバカ日誌』や歌舞伎、宝塚歌劇、寺山修司や井上ひさしなど、身近なテーマや人物もならび、ドイツ語圏という鏡にうつして、逆に日本の演劇や文学、文化の姿が見えてくる。
日本図書館協会選定図書。
好評につき、発売直後に重版。
【日本経済新聞2010年5月12日夕刊に紹介記事掲載】
前口上 谷川 道子
●第一の段
「演劇なるもの」をめぐっての原理的考察
【第一場】
中島 裕昭 「キャラ」で見る喜劇
【第二場】
尾方 一郎 人形劇、日本とドイツの場合
【第三場】
本田 雅也 ドイツと日本、「近代」と演劇
【第四場】
丸本 隆 ドイツの日本演劇受容にみる異文化「誤解」のダイナミズム
●第二の段
二〇世紀初頭の〈日本×ドイツ〉演劇の同時代性と差異
【第五場】
谷川 道子 築地小劇場の成立と展開
【第六場】
市川 明 宝塚歌劇とカイザーの『二つのネクタイ』
【第七場】
萩原 健 〈作品の美学〉よりも〈作用の美学〉を!
●第三の段
現代演劇における〈日本×ドイツ〉の新たなる創造性
【第八場】
秋葉 裕一 ベルトルト・ブレヒトと井上ひさし
【第九場】
大塚 直 アングラ演劇の世界的位相
【第十場】
四ツ谷 亮子 1990 年代以降の現代演劇の実践と批評
後口上 秋葉 裕一