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写真:金元時代の華北社会と科挙制度
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金元時代の華北社会と科挙制度
もう一つの「士人層」

飯山 知保 著

A5判 464ページ

本体 8,900円+税

ISBN:978-4-657-11706-9

amazon.co.jp

作品概要

 6世紀末に端を発し11世紀に制度的に確立した科挙制度は、万人に開かれた栄達の道として、広範な地方知識人層=「士人層」を生み出し、中国社会を規定しつづけてきた。その科挙の歴史の中で絶えず問題とされた南北格差はいかに生まれ、どのような文化的・社会的・経済的意味を持ってきたのか。中国史研究のこの大きなテーマに対し、多くの民族=征服者との接点をなした華北社会の独自の姿に注目し、特に12~14世紀の金代やモンゴル支配の時代に焦点を当てて、南方の漢人社会とは異なる実像を描こうとする雄大な研究。広範な碑刻史料を渉猟し、新しい大量の文献史料を収集・精査して、宋代以降の中華地域における金元時代の意義を問う力作。

目次など

金元時代華北社会と科挙制度 目次
序論
第一部 女真支配下の科挙と社会

第一章 金代在地有力者層の履歴―山西忻州定襄県―
はじめに
第一節 宋末金初の定襄県
第二節 女真支配下の科挙と定襄県の在地有力者層
第三節 在地有力者の相互関係
おわりに

第二章 金初華北における科挙と士人層―天眷二年以前を対象として―
はじめに
第一節 金初華北における科挙とその実施の経緯
第二節 金初華北における漢人士人の動向
第三節 金初華北における南人士人の動向
おわりに

第三章 科挙・学校政策の変遷からみた金代士人層
はじめに
第一節 科挙及第者の動向からみる金代士人層の地域格差
第二節 不干渉の時代(金初~大定年間初期)
第三節 科挙改革と学校の整備・普及(大定年間中期~泰和年間)
第四節 モンゴルの侵攻と過当競争(大安年間~金国滅亡)
おわりに

第四章 楊業から元好問へ―十~十三世紀晋北における科挙の浸透とその歴史的意義について
はじめに
第一節 北宋末~金代後期の秀容元氏
第二節 八~十世紀の晋北と太原楊氏
第三節 キタイ・北宋治下の晋北と科挙
第四節 金代晋北における科挙応試の拡大とその背景
おわりに

第五章 金代華北在地社会における女真人の位相と「女真儒士」について
はじめに
第一節 金代華北社会における女真人の居住形態
第二節 村寨・屯営と周辺住民との関係
第三節 村寨・屯営の実例(滑州白馬県董固台)
第四節 女真儒士出現の背景とその特質
第五節 猛安・謀克制度の崩壊と女真儒士の変質
おわりに

第六章 金代華北の科挙受験者数について
はじめに
第一節 金代の科挙受験者数
おわりに

第七章 金代地方吏員の中央昇転について
はじめに
第一節 金代令史と地方吏員
第二節 地方吏員の中央官衙への昇転経路
第三節 金代士人の吏員観
おわりに

第二部 モンゴル時代の華北社会と科挙

第八章 モンゴル支配下の忻州定襄県とその在地有力者像の変容
はじめに
第一節 モンゴルの侵攻と定襄県
第二節 モンゴルの支配と定襄県
おわりに

第九章 モンゴル時代華北における出仕傾向の変遷
はじめに
第一節 山東
第二節 河北平原西部
第三節 奉元路
おわりに
関連事例一覧

第十章 新設の出仕経路としての科挙制度
はじめに
第一節 新出仕経路としての科挙再開の位置づけ
第二節 国子監と科挙の連結
第三節 及第者の実例からみる科挙・国子監経由の出仕の利点
第四節 出仕経路としての科挙・国子監の行き詰まり
おわりに

第十一章 モンゴル支配下華北の科挙応試者数について
はじめに
第一節 儒人選試の合格者数と応試状況
第二節 モンゴル時代の科挙応試者数
おわりに

第十二章 モンゴル時代華北社会における「士人」の地位
はじめに
第一節 モンゴル時代華北における「士人」「士子」「儒士」の用例
第二節 在地社会における儒人
第三節 官学・書院における非儒人学生
第四節 民間の教育施設
おわりに

第十三章 稷山段氏の金元時代―十一~十四世紀の山西汾水下流域における「士人層」の存続と変質について―
はじめに
第一節 汾水下流域の地勢的特質と北宋時代の稷山段氏
第二節 女真の征服と金代の段氏
第三節 モンゴルの侵攻と在地有力者層の再編成
第四節 モンゴル時代の稷山段氏
第五節 科挙再開とその影響
おわりに

第十四章 『運使郭公復斎言行録』の編纂と或るモンゴル時代吏員出身官僚の位相
はじめに
第一節 『言行録』『敏行録』の伝存過程
第二節 郭郁の生涯と『言行録』『敏行録』
第三節 「儒を以て吏を飾る」―儒者としての郭郁―-
おわりに

第十五章 外来民族の儒学習得とその契機―華北駐屯軍所属家系の事例を中心に―
はじめに
第一節 濮陽タングタイ家の経歴
第二節 その他の駐屯軍家系の動向
第三節 駐屯軍家系をめぐる十三世紀末から十四世紀初頭にかけての混乱
第四節 駐屯軍家系における儒学習得の拡大
第五節 濮陽タングタイ家の儒学習得とその契機
おわりに
結論

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