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写真:環境政策のクロニクル
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環境政策のクロニクル
水俣病問題からパリ協定まで[新装版]

吉田 徳久 著

A5判ソフトカバー 388ページ

本体:2,800円+税(2021年4月10日発売)

ISBN:978-4-657-21008-1

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作品概要

私たちは環境問題に真剣に取り組んできたのか――。
わが国の環境政策は、経済的・社会的な持続可能性の要求との間でしばしば対立・相克を繰り返してきた。水俣病問題からパリ協定までの60年余りの歩みを振り返りながら、環境問題の本質を読み解く。

【出版社からのコメント】
史実を精確に辿りながら、政治・行政と科学の両面から環境政策の体系をくまなく論じた本書は、過去の集約でなく、これからの環境政策への道標である。充実した索引項目は、環境事典としての利用を可能にしてくれる。淡々とした筆致の中から読者に訴えかける、環境のアイロニーとジレンマもまた異色である。
2019年10月の刊行以来ご好評いただいてきた初版本を、このたび使いやすいソフトカバーに替え、お手頃価格の新装版としてお届けします。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

早稲田大学名誉教授。元早稲田大学大学院環境・エネルギー研究科教授(2007~2020年)。同大学院政治学研究科ジャーナリズムコース兼任。専門は環境政策・科学。環境政策プロセスの分析を通じた環境レジームの研究・教育に携わる。大学院では環境政策・科学論,日中環境実践研究(北京大学と早稲田大学の共同実施授業)等の授業を担当。学部学生の全学共通副専攻「戦略的環境研究」のコーディネーターを務める。
1974年,東京大学大学院理学系研究科地球物理学専門課程(修士)修了。同年、環境庁(当時)に入庁し約30年にわたり、公害対策,化学物質対策,環境アセスメント,地球環境保全など幅広い分野の環境政策に従事。元環境省環境管理局水環境部長。
著書に,『サステイナビリティ学への挑戦』(共著:岩波書店,2007),『震災後にかんがえる』(共著:早稲田大学出版部,2015),Climate Change and Global Sustainability: A Holistic Approach(共著:国連大学出版,2011)など。

目次など

プロローグ : 最近の環境トピックスから
 パリ協定の採択と発効を巡って / 豊洲新市場の地下水・土壌汚染騒動 /
 生物多様性にまつわる話題 / 現代環境論のすがた

第1章 環境問題への気づきと環境政策の形成
 1.1 環境問題への気づき
  経験を通じた気づき / 科学的な推論による気づき / 環境観の変化による気づき
 1.2 環境問題の属性と政策形成
  環境問題の属性 / 環境政策の形成過程 / 環境クロニクルという視点
 【コラム1】 環境問題の時空間スケール

第2章 持続可能な開発の理念と環境保全の国際枠組 
 2.1 地球システムと人類
  地球システムの進化と人類の発生 / 人類の生存を支える絶妙な地球環境
 2.2 持続可能な開発の理念的な発達
  国連人間環境会議以前 / 国連人間環境会議 / 国連人間環境会議の前後に採択
  された環境条約等 / 環境と開発に関する世界委員会(WCED) / 環境と開発に
  関する国連会議(地球サミット) / 地球サミットの前後に採択された環境条約
  等 / 地球サミット以降の2回の国連会議とSDGs / 持続可能な開発のための
  様々な取組
 2.3 持続可能な開発と環境保全
  持続可能な開発の二つの解釈 / 持続可能な開発のための政策
 【コラム2】 エコロジカル・フットプリント

第3章 わが国の環境政策の見取り図
 3.1 環境政策の大まかな流れ
  環境政策の2つのステージ / 環境政策の5つの分野と横断的な手法
 3.2 環境保全の三つの基本法
  環境基本法 / 循環基本法と生物多様性基本法
 3.3 環境基本計画等にみる環境政策
  環境基本計画の変遷 / 生物多様性国家戦略の策定経過 / 環境政策の統合と離散
 【コラム3】 環境政策における原則と手法

第4章 公害問題と対策の歩み
 4.1 公害はおわったか
  公害対策の浮沈 / 公害の歴史の語られ方 / 環境基準
 4.2 大気環境保全の歩み
  大気汚染に係る環境基準 / 大気環境保全の法的枠組 / 大気汚染状況の推移と政策
 4.3 水環境保全の歩み
  水環境保全のスコープ / 水系(公共用水域,地下水及び土壌)の環境基準 /
  水環境保全の中心課題―閉鎖性水域の有機汚濁と富栄養化
 4.4 クロニクルとしての水俣病問題
   水質二法と水俣 / 解決を阻んだ二つの壁 / 水俣病問題を深く読み解く努力を

第5章 化学物質の環境安全管理
 5.1 化学物質の環境安全管理のポイント
  環境と化学物質 / 環境を通じた化学物質への暴露 / 環境安全管理のメルク
  マール / 環境のリスク評価と管理
 5.2 化学物質の環境安全管理の発達
  環境安全管理の国際的な枠組 / わが国の環境史の中の有害化学物質
 5.3 化学物質の環境安全管理の法体系
  化学物質の安全管理に関する法令の概要 / POPs条約 / 化学物質審査規制法 /
  化学物質排出把握管理促進法(PRTR法) / 農薬取締法
 5.4 化学物質の安全と安心
 【コラム4】 『沈黙の春』と『奪われし未来』
 【コラム5】 ダイオキシン類

第6章 循環型社会の形成に向けた政策
 6.1 循環型社会政策の誕生
  循環型社会とは / 循環型社会政策の法体系
 6.2 廃棄物行政の歩み
  廃棄物問題の特性 / 廃棄物処理法の概要 / 廃棄物行政の変遷―清掃業務から
  廃棄物対策へ / 廃棄物行政の課題と対応
 6.3 3R政策の現状と課題
  わが国の物質フロー / 拡大生産者責任(EPR) / 3R政策の展開図 / 循環型社会
  基本計画 / 資源有効利用促進法 / 個別リサイクル法
 【コラム6】 グリーン購入と古紙配合率偽装

第7章 気候変動の科学と政策
 7.1 気候変動(地球温暖化)に係る政策議論のフレーム
 7.2 気候変動の科学
  IPCCの評価報告書 / 地球温暖化のメカニズム / 温室効果ガスと排出量 /
  地球の炭素循環と緩和策 / 気候変動の影響とリスク管理 / 気候安定化への
  シナリオ
 7.3 気候変動対策の国際枠組の変遷
  国際枠組の形成以前 / 気候変動枠組条約の発効まで / 京都議定書の時代 /
  「ポスト京都」と「カンクン合意」 / パリ協定の採択とそれ以降
 7.4 わが国の地球温暖化対策の歩み
  低炭素化対策(緩和策)のメニュー / 地球温暖化対策に関する行政計画 /
  エネルギー政策としての地球温暖化対策 / 地球温暖化対策と東日本大震災 /
  十年前の議論の再来
 【コラム7】 エネルギー起源のCO2排出量に関する考察2題
 【コラム8】 官邸主導の地球温暖化対策に関する計画
 【コラム9】 日本経団連の地球温暖化への対応

 おわりに
 参考文献・参考資料
 索引

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