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写真:他者の発見
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他者の発見
演劇教育から人類学、ボランティアと地域活性論への架け橋

石野 由香里 著

A5判 312ページ

本体:4,000円+税(2021年6月24日発売)

ISBN:978-4-657-21804-9

TSUTAYA
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紀伊國屋書店
MARUZEN & JUNKUDO
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作品概要

他者を演じることの持つ力、とりわけ、他者の立場に立つために演じることによる変容を見つめる。俳優としての経験を持つ著者が、役作りの過程で起こる変容は他分野に活かせると実感し、「他者をなぞるように演じる」方法を開発。この手法を授業や日常生活、さらに地域の活動において用いるようになった学生と、その周りの人々の変容の過程をたどる。「相手の立場に立ったつもりになる」のと「立つ」ことの違い、頭で考えるのと実際に身を置いて感じることとはどのように異なるのか。
身体をもって他者をなぞり演じることで、自他の「間(ハザマ)」に立ち、省察を経て自分の主観的なモノの見方の枠組みが変容していくという実践原理を解明し、現代社会の無関心、無理解、対立、差別が問題となる場面への応用可能性を示す。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

修士課程で人類学を専攻し、クック諸島でフィールドワークをおこなう。地域振興の仕事に携わったのち、東京工業大学社会理工学研究科社会工学専攻(ノンプロフィット・マネージメントコース)博士後期課程に入学し、まちづくりについて学ぶ。その後、論文提出により博士号を取得(教育学)。専門は演劇教育・人類学・社会貢献。法政大学多摩ボランティアセンター・コーディネーター、早稲田大学平山郁夫記念ボランティアセンター・常勤講師を経て、現在は明星大学明星教育センター・特任准教授。一方で、10代より俳優として舞台や実験映画等で活動。近年は音楽家と共に新たな舞台表現を探求している。演劇ワークショップのファシリテーターとしても活動中。

目次など

はじめに

序 章 先行研究と本研究の構成
 第1節 自己変容に関する研究の動向
 第2節 本研究に用いる手法と先行研究
 第3節 本研究の構成と枠組み
 第4節 研究の方法

第1部 「他者をなぞるように演じる」手法
    ――俳優の演技術の応用による省察と変容
 第1章 俳優の役作りにおける自己相対化
  第1節 本章の概要
  第2節 自己相対化を促すための基本的姿勢とプロセス
  第3節 まとめ

 第2章 演劇的手法を用いた授業実践
     ――フィールドワーク・ボランティア活動での省察と変容
  第1節 本章の概要
  第2節 問題発見型フィールドワークを促すための方法
  第3節 履修生の変容
      ――他者の捉え方・モノの見方の相対化
  第4節 まとめ

第2部 日常生活からコミュニティへの応用
    ――他者の捉え方・態度の変容と広がり
 第3章 日常生活への応用
     ――「近しい人」「遠い人」に対する態度の変容
  第1節 本章の概要
  第2節 相手の立場に立つことの習慣化
  第3節 バイアスを相対化する技法を使いこなす
  第4節 まとめ

 第4章 他者の生(ライフ)をそのまま受け止め現す
     ――語り手―演じ手―観客の間に起きる作用
  第1節 本章の概要
  第2節 「聞きなぞり」の再現プロセスと特徴
      ――「共感」ではなく「共有」する
  第3節 隔たりのある他者を再現することの意味
  第4節 まとめ

 第5章 コミュ二ティにおける住民と場の変容
     ――まちづくり・ボランティア学への応用
  第1節 本章の概要
  第2節 フォーラムシアター実践による参加者の変容
  第3節 住民の変容
      ――偏見に気づき言動を捉え直す
  第4節 靖さんの変容
      ――支援者としての在り方を捉え直す
  第5節 学生の学び
      ――よそ者として学びの場を開く
  第6節 (総括)媒介性から見る変容の特徴
  第7節 まとめ

終 章 他者をそのまま受け止める
 第1節 本研究の主旨
 第2節 発展的変容
     ――実践の深まりと周囲への作用
 第3節 「他者をなぞるように演じる」実践の変容と方法の特長
 第4節 本研究の結論
 第5節 演劇教育研究への貢献
 第6節 諸分野への貢献
     ――教育学、人類学、地域活性とボランティア論を中心に

おわりに
参考文献
索  引
英文要旨

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