環境が農を鍛える原剛 A5判 270ページ 本体 3,600円+税 ISBN:978-4-657-07308-2 |
農林水産省は2003年に、農業政策と環境政策を統合した「農業環境政策」を公表した。しかしその後、この政策に対する具体的な提言、研究は発表されていない。
本書は、都市近郊(所沢・埼玉)、中山間地(高畠町・山形)での有機無農薬・減農薬農業など具体的な事例を取り上げ、環境と共存する農業を提唱する。農村・農業を食料生産の手段に押し留めず、人と暮しを支える環境資源として位置づける画期的な試み。
1章 本書の目的、方法と構成
1 研究の背景と目的
2 研究の方法と分析の枠組み
2章 農業環境政策とは何か
1 人間にとっての環境
2 「二〇〇三年農林水産環境政策の基本方針」の分析
3章 農業環境政策の形成と国内要因
1 伝統的な環境共生認識と近代農法の矛盾
2 環境規制に規定される農法
3 社会的ジレンマ論から環境と農業の相関を分析する
4章 農業環境政策の形成と国際要因
1 外圧利用の環境政策の構図
2 国際環境政策の農業環境政策への影響
3 レジームとガバナンス論による国際環境政策と農業政策の分析
5章 農業環境政策と農業の多面的機能
1 農水省による農業の多面的機能論
2 日本学術会議による農業の多面的な機能論
6章 農業環境政策に何が必要か、地域から考える
1 中山間地域の農業環境政策のあり方
2 事例分析――山形県高畠町・和田地区(中山間地)農業の変遷と多面的機能
3 事例分析――埼玉県所沢市・三富新田(都市近郊)農業の変遷と多面的機能
4 事例分析のまとめ
7章 まとめと提言