生殖補助技術の臨床実施にむけ、社会的合意はどのように形成されるべきか、当事者の自己決定に委ね、社会の側は介入すべきでないのかを考える。また人工授精など、生殖補助医療から生まれた子の親子法上の地位について検討する。
本書が、日本評論社刊「法学セミナー5月号(653号)」の新刊ガイドで紹介されました!
●生殖補助技術を巡る家族・社会的合意を再考
体外受精を実施した女性が別人の受精卵(の可能性が高い)で妊娠後、人工妊娠中絶を受けていたというニュースは、皆さんも記憶に新しいのではないだろうか。生殖補助医療に関わる事件が報道されるたび、生殖補助技術を巡る家族の在り方、社会的合意の形成について議論がなされるが、その前提となる哲学や考え方について深くふれる機会はあまりないように思われる。
本書は、比較家族史学会の研究大会(2002年、2003年)におけるシンポジウム報告のなかでも、「生殖補助技術に関する近年の動向を、社会的合意の形成過程という面から検討する論考を集めたもの」である。民事法・医事法・法哲学・文化人類学等を専門とする執筆陣が、生殖補助技術を巡る家族の在り方、社会的合意形成について興味深い論を展開している。本書を通して生殖補助技術を巡る諸問題について再考し、解決の糸口を探ってほしい。(出典:「法学セミナー5月号(653号)」)
第1部 自己決定と社会的合意の形成
・治療と設計の間―家族論への挑戦生殖補助技術とプライバシー権の展開―関係性の権利の視点
・生殖補助技術をめぐる議論―その回顧と展望
・新生殖技術への対応と家族―スイス・フランスの議論を中心に
第2部 生殖革命と家族関係
・人工生殖について思ってきたこと・再論
・死後生殖子の法的父子関係確定と関係者の利害調整―近時(平成一三年乃至一八年)の三 ケース判決の批判的検討を中心として
・人工生殖によって生まれた子と親子法―代理母・死後懐胎を契機にAIDを見直す)