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半世紀以上にわたる欧州統括を総括しつつ、地球的規模の諸問題の相互関連性を認識しながら喫緊の政治経済課題の解決に向けて果敢に挑戦を続けるEUの「現在」を具体的な政策事例を通じて明らかにする。
●本書が、駐日欧州委員会代表部広報部「ヨーロッパ2009年夏号(通巻第258号)」で紹介されました!
グローバリゼーションは、世界に何をもたらしたのか。環境・エネルギー問題、世界経済・金融危機、貧困と開発、人権問題、感染症予防など、グローバル化に伴う諸問題は、われわれの日常生活にも関わる身近な問題である。一国家の管理能力を超える地球規模問題に対して、これを歴史的に先取りするかたちで共同対処しているのが、EUによるガバナンスの試みである。本書は、こうした地球的規模問題の相互関連性を認識し、喫緊の政治経済課題の解決に向けて「持続可能な発展戦略」という長期的な視点から果敢に取り組んでいるEUの姿を、具体的な政策事例を通じて考察する論稿から構成されている。
本書では、第Ⅰ部で、気候変動対策と再生可能エネルギー政策、EUにおける資本移動の自由とその制限、EU基本権憲章とイギリス、EU保健医療政策と感染症制御ガバナンス、EU開発援助政策のガバナンスから構成される。第Ⅱ部では、駐日欧州委員会代表部のヒュー・リチャードソン大使による「EUのスマートパワー外交」の役割、駐日ベルギー公使による「リスボン条約のグローバル・ガバナンスへの貢献可能性」について論じられている。本書は、EUのさまざまな観点からの最新の議論と課題を提示しており、わが国のグローバル・ガバナンスへの貢献のあり方を考える上で非常に有益である。
出典:「ヨーロッパ2009年夏号(通巻第258号)」
はしがき 福田耕治
第Ⅰ部 グローバル・ガバナンスとEUの挑戦
グローバル・ガバナンスとEUの持続可能な発展戦略 福田耕治
―気候変動抑制と再生可能エネルギー政策を事例として―
EUにおける資本移動の自由とその制限 正井章筰
―その法的枠組み―
EU基本権憲章の起草とイギリス 山本 直
EUにおける感染症予防政策のガバナンス 福田八寿絵
―結核の感染制御を事例として―
EU開発政策におけるコンセンサス形成の意義 岩野 智
―欧州委員会と加盟国の関係性に着目して―
第Ⅱ部 グローバル・ガバナンスとEU統合の行方
基調講演 Smartening the EU's soft power
ヒュー・リチャードソン大使(駐日欧州委員会代表部)
特別講演 The Treaty of Lisbon as a Contribution to Better Global Governance?
ヴァン・デ・ヴォールデ公使(駐日ベルギー王国大使館)
コメント The State in Regional Integration:Comments on the Afternoon Session
舒 旻
あとがき―リチャードソン大使の基調講演を中心に― 中村英俊