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日本の介護は、「崩壊」の瀬戸際にあるのか――。
本書は、この切実な問いから出発し、「財源がないから仕方がない」「人手不足は避けられない」といった、いま広く共有されている“常識”に真正面から疑問を投げかける。
国の決算を丹念に読み解くと、毎年数兆円規模の「使い残し」や、想定を上回る税収が生じているという、あまり知られていない現実が浮かび上がる。にもかかわらず、なぜ社会保障は抑制され続けるのか。本書はこの核心に迫り、介護をめぐる政策の全体像を鮮やかに描き出す。
さらに、低賃金・重労働、人材不足、外国人材への依存、ICT化の推進といった諸問題が、市場主義のもとで連動しながら深刻化してきた構造を解明する。具体的な分析を通じて、「このまま進めば何が起きるのか」をリアルに提示する。
介護の問題を「個人の努力」ではなく「社会の仕組み」の問題として捉え直す視点が、いまこそ求められている。現状を変えるための打開策を、データと論理に基づき、説得力豊かに示す。
親の介護が気になり始めた方、仕事と介護の両立に不安を抱える方、そして自らの老後を安心して迎えたいと願うすべての人へ。日本の介護の未来を考えるための、必読の一冊。
公益財団法人 日本医療総合研究所 協力研究員。
早稲田大学人間科学部卒業。博士(学術)(神戸大学)。
主な著書:『介護福祉従事者の専門性と人材確保政策――養成政策の矛盾深化とラディカル・ソーシャルワークへの期待』(東京学芸大学出版会)、『「新しい社会保障教育」政策と地域共生社会』(関西学院大学出版会)、『社会保障政策従属型ボランティア政策』(大阪公立大学共同出版会)など。
序
第1章 日本の社会保障抑制政策――マクロ的観点からみる
1 「社会保障」の概念規定
2 社会保障関係費の抑制――二〇一〇年頃を起点として
3 社会保障抑制政策の継続
4 政策効果の観点からみた社会保障政策
5 社会保障抑制政策転換の必要性と改善策の方向性
6 本章のまとめ
【コラム1】生産年齢人口一人当たりGDP
【コラム2】ノン・アフェクタシオンの原則との関係
第2章 介護人材確保の現実――進む外国人介護労働者の受け入れ
1 慢性的な人材不足が生み出す社会的損失と国の人材確保策
2 低賃金構造が生み出す人材不足
3 在留資格「留学」から在留資格「介護」への移行ルート
4 外国人介護福祉士(候補者)の人材確保に資する官民の施策
5 これまでのデータから見えてくること
6 最新の政策動向からみた現状の再考
7 本章のまとめ
第3章 介護福祉士資格をめぐる問題――保育士制度から推察される取得容易化
1 なぜ「保育士」の資格制度に注目するのか
2 保育士資格における科目別合格制度
3 保育士資格における地域限定保育士制度
4 地域限定資格の観点からみた介護福祉士
5 実現する可能性の高い「受験回数増加」施策
6 揺らぐ「国家資格」の価値
7 本章のまとめ
第4章 「産福共創」戦略の死角――介護・生活援助分野の市場化
1 生活援助サービスの今後
2 厚労省における議論と見解――「デッドライン」が意味するもの
3 財務省による「保険給付対象外」への圧力
4 経産省による「介護・生活援助分野の市場化」戦略
5 その他の議論と見解――外国人材を欲する可能性が高い「受け皿」
6 想定される今後の展開
7 「労働移民型移民社会・日本」という現実
8 本章のまとめ
結び
【コラム3】「抑制」か「依存」か――外国人介護人材をめぐるジレンマ
あとがき
広い視野で社会保障を捉えることでみえてくるもの――本書の刊行に寄せて(横山壽一)
初出一覧
参考文献