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虚構から史実へ
中国史書による国家の正統化について

渡邉 義浩 著

新書判 312ページ

本体:1,200円+税(2025年4月30日発売)

ISBN:978-4-657-25004-9

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作品概要

古来、中国の歴史は「物語」により表現されてきた。その伝統は、周代の金文に始まり、以降「物語」は、諸子百家による啓蒙活動に用いられ、前漢になり儒教が国教の地位を得ると、その経典の解釈書に採り入れられていく。続く後漢において「古典中国」(後世の中国が規範とした中国の原型)が成立すると、訓詁学の隆盛を背景に『春秋左氏伝』が「物語」と歴史との接点を回復し、「史伝」へと発展。やがて『史記』を起源とする紀伝体にくわえ、『漢書』のように国ごとに歴史を描く断代史の体裁が定められ、国家が自らの正統性を担保するための「正史」という形で結実する――本書では、「物語から史書へ」と至る以上の経緯を、『尚書』『尚書大伝』『詩経』『韓詩外伝』『論語』『墨子』『孟子』『荀子』『荘子』『韓非子』『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』『春秋左氏伝』『国語』『史記』『漢書』『三国志』といった数多くの古典から引用しつつ、古代中国において思想と国家が「物語」によって正統化されていく実相とともに、ひもといていく。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

1962年、東京都生まれ。文学博士。早稲田大学文学学術院教授。専攻は「古典中国」学。著訳書に『後漢国家の支配と儒教』(雄山閣出版)、『三国志よりみた邪馬台国』(汲古書院)、『全譯論語集解』(主編、同)、『全譯後漢書』(主編、同)、『儒教と中国――「二千年の正統思想」の起源』(講談社選書メチエ)、『「論語」――孔子の言葉はいかにつくられたか』(同)、『魏武注孫子』(講談社学術文庫)、『関羽――神になった「三国志」の英雄』(筑摩選書)、『漢帝国――400年の興亡』(中公新書)、『孫子――「兵法の真髄」を読む』(同)、『「十八史略」で読む「三国志」――横山「三国志」で迫る具体像』(潮新書)、『『韓非子』入門』(ミネルヴァ書房)、『論語集解――魏・何晏(集解)(上/下)』(早稲田文庫)、『後漢書 本紀[一]/本紀[二]/志[一]/志[二]/列伝[一]/列伝[二]/列伝[三]』(同)など多数。

目次など

はじめに―中国における歴史叙述とは

第一章 聖王たちの表現
1 孔子が夢見た人
2 周公即位の理由
3 笑顔が西周を滅ぼす
4 美女に溺れる

第二章 覇者たちの時代
1 桓公を覇者に
2 春秋学と管仲・桓公
3 春秋学と文公
4 管仲物語の形成

第三章 孔子伝説の展開
1 魯の政治に関わる
2 放浪する孔子
3 経典と教団
4 『荘子』の孔子物語

第四章 物語による経書解釈
1 韓非と『韓非子』
2 物語の奪い合い
3 韓嬰と『韓詩外伝』
4 儒教の普及を目指す

第五章 『春秋』を書き継ぐ
1 物語から史伝へ
2 国家と君主の正統性
3 「春秋家」
4 名を記す

第六章 儒教と史学
1 『尚書』を受け継ぐ
2 漢の賛美と王莽の否定
3 二つの予言
4 正統の表現

おわりに―史学の自立と国家の正統性
1 史料批判とその限界
2 欧陽脩と正史

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