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写真:福島と原発 2
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福島と原発 2
放射線との闘い+1000日の記憶

福島民報社編集局 著

四六判 ハードカバー  468ページ+口絵8ページ

本体 2,800円+税(2014年3月11日発売)

ISBN:978-4-657-14002-9

TSUTAYA
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作品概要

震災・原発事故から3年,福島の復興への道は未だ険しい。子どもの尿からセシウムの衝撃,揺れ動いた基準値決定の舞台裏,止まらぬ汚染水,除染,農水産物再出荷に向けての試行錯誤。過酷な状況下で前を向きひたむきに生きる人々の姿を追う。あの日を忘れない,1000日間の出来事を同時収録。全国紙が伝えない終らぬ現実を知る。《日本図書館協会選定図書》《全国学校図書館協議会選定図書》

『福島と原発—誘致から大震災への五十年』の続刊

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

「……福島で何が起きたのか,安全への納得につながるリスクコミュニケーションはいかにあるべきか,多岐にわたる記者たちの丁寧な深掘取材から生み出されたこの記録と提言は,判断に不可欠の要素を知るうえで必読の書だ。」柳田邦男(本文,オビより)

「福島の被災者が抱える現実を知るための一書」
2014年6月21日 図書新聞

「本書が明らかにする福島県の苦闘は,他人事ではない。再稼働の是非を論じるうえで欠かせないルポである。」
2014年4月13日 信濃毎日新聞

「読み進めるにつれ,無性に腹が立ってくる。抑えた筆致でも,閉じ込めることができない福島の怒りが,行間に滲んでいるからだろう。(中略)地震の活動期に入ったとされる日本で,原発の再稼働が引き起こすかもしれない『未来』を,肌身で感じることができるだろう。」
2014年4月13日 神戸新聞

【新刊紹介】
静岡新聞/福井新聞/(2014年3月30日)/岩手日報/山梨日日新聞/京都新聞(2014年3月23日)/大分合同新聞(2014年3月9日)

目次など

深掘取材から生み出された記録と提言  柳田邦男

■放射線との闘い

第1部 汚染水の行方
●苦悩の現場 
① 規制委の理想と隔たり——破られた約束 ② 閉じた排水弁の弊害——後手に回る対応 ③「使命感」が原動力に——過酷な現場
●タンクの不安 
④ 溶接型への変更急務——漏えい不思議でない ⑤ 地盤いまだ不明瞭——詳細データ示されず
●リスクの低減 
⑥「ALPS」への期待——危機感募らす政府 ⑦ トリチウムの理解が鍵——宙に浮くバイパス計画 ⑧ 誤解招いた東電の発表——五輪招致にも影響  
●海洋流出の懸念 
⑨ 見過ごされた「警告」——空白の一年半 ⑩ 再検討された遮水壁——問われる効果 ⑪「国際公約」守れるか——コントロールされている?

第2部 安心の尺度
●神様が与えてくれた命 
① 運命の子——揺れる心 ② 爆発、どこに逃げる……——もう駄目だぞ ③ 試練——出産を決断 ④ 生まれてくれてありがとう——心配は尽きないけど ⑤ いつの日か、あの家に——双葉町を見たい
●遅れた避難 
⑥「拡散」知らず雪遊び——不安が現実に ⑦ 誰を信じればいいの——専門家さまざま ⑧ 娘の将来を見詰めて——悩むよりも大切なこと
●心 の 差 
⑨ 母子避難——苦悩の決断 ⑩「放射線遠ざけたい」——長い夜 ⑪ 心身疲弊——綱渡りの生活 ⑫ 県境越え——見えぬ将来 ⑬ 一人酒——孫を待つ日々
●子育ての溝 
⑭ 不安拭えず県外避難——原発事故から一年 ⑮ 県外生活、先は見えず——苦しくなった家計
いなくなった園児 ⑯ 無事確認したのもつかの間……——今度は原発事故 ⑰ 再開いつになるのか——臨時保育園で奮闘 ⑱ 除染終え元気な歓声——万感の思い ⑲ この町で暮らすため——除染は最低条件
●伝えたい思い 
⑳ 非情な「紙切れ一枚」——キャンセル相次ぐ ㉑ 保護者に宛てた意義——会津行き決める ㉒「温度差」なお根強く——安心のハードル
感想・意見

第3部 安全の指標
●研究者の苦悩 
① 福島の危機——緊急派遣 ② 医療現場に不安拡大——決断した福島行き ③ 鳴りっ放しの電話——求められた専門家 ④ 通用しなかった「正論」——解任運動に発展 ⑤「独り歩き」した数字——ぶれる政府の対応
●揺らいだ基準 
⑥ 涙の訴え、波紋広がる——後ろから鉄砲玉 ⑦ 影の助言チーム結成——国の一大事 ⑧ 採用されない「提言」
●募る不満  
⑨ ゆがめられた「真意」——立ち消えになった再引き上げ ⑩ 官邸の解釈に失望……——すり替えられた根拠 ⑪「幻」となった勉強会——重要部分語られず ⑫ 世界の総意生かされず——同時に使われた二〇ミリシーベルト ⑬ 安心のため、政治決断——引き下げありきの議論 ⑭ 届かなかった現場の声——議論の場設けられず
●検査の意義 
⑮ 前例なき安心の証明——子どもの甲状腺検査 ⑯ 県外と変わらぬ判定——解けた謎 ⑰ 早期発見の可能性も——進歩する検査機器 ⑱ 低い預託実効線量——求められるデータ ⑲ 減り続ける受診者——薄れる検査への関心 ⑳「安心」は個人の判断——分かりやすい説明が必要
●手探りの「リスコミ」 
㉑ 求められる「物差し」——正しく怖がる ㉒ 少人数単位で「対話」——効果的な仕組み模索 ㉓ 村民が伝える道しるべ——住民の疑問に答えたい ㉔ 帰村支援に拠点開設——長崎大学の取り組み ㉕ 新指針——問われる姿勢
比較データ(チェルノブイリ原発事故の避難・食品規制基準、各国の自然放射線量等)

第4部 岐路に立つ除染
●1ミリの呪縛 
① 目安と目標——揺れる住民 ②「点」ではなく「面」で——個人でできない除染を ③ 理想と現実にもがく——伊達市の活動 ④ 試された地域の自治力——仮置き場の確保 ⑤ 現実的な目標に再設定を——どこまで除染するか…… ⑥ 換算係数、実測と隔たり——外部被ばく線量
●帰還への模索 
⑦ 仮設で死にたくない——避難生活で疲弊 ⑧「農の村」苦渋の決断——宅地除染を優先 ⑨ 新線量計が判断材料に——産総研が開発 ⑩ 再除染の基準示されず——実現性に懸念 ⑪ 線量可視化で理解後押し——ガンマカメラでの測定 ⑫ 山林除染に一筋の光——セシウムの動き ⑬ 地形に合った方法選択——マニュアル化すべきでない

第5部 未知への挑戦
●安全のカルテ 
① 地域再生へ作付け再開——コメもう一度作りたい ② 試験栽培で解明に道筋——心強かった研究成果 ③「はずれ値」の謎に迫る——低減へ追跡調査 ④ ごく一部に水の影響か——用水の季節変動 ⑤ 基盤整備も選択肢の一つ——農山村の負荷軽減へ ⑥ 土壌診断で個別に処方——データをマップ化
●低減への模索 
⑦ 柿10トン超、涙の廃棄——二年連続加工自粛 ⑧ 樹木内部を徹底検証——移行 防ぐ手だては ⑨ 和歌山方式で試験栽培——農家救う糸口を ⑩ 出荷再開へ、企業の知恵——急がれる検査機器開発 ⑪ 無駄になった「原木」——シイタケ作れない ⑫「工業技術」に活路——生産者の窮状打開へ ⑬「水研磨」原木に効果——栽培復活への一歩
●再開への船出 
⑭ 1パーセントのミスも許されぬ——手探りの試験操業 ⑮ 海水は事故前に戻る——時間とともに低下 ⑯「海の今」解明し発信——魚介類をモニタリング ⑰ 淡水に潜む「例外」——餌からセシウム吸収 ⑱ ヒメマスの謎に困惑——濃度なぜ下がらない ⑲ 排出の仕組みを解明——海水魚は淡水魚より速い
●進む技術開発 
⑳ 安心へ、煩わしさ解消——非破壊式測定器——㉑ 誤差の範囲狭まる——検出校正の壁 ㉒ より精度の高い機器を——漁業復活へ強い決意 ㉓ 独自の測定で安全確認——正しい情報伝える

■東日本大震災・東京電力福島第一原発事故
1000日の記憶

平成23年3月11日~平成25年12月4日の出来事を記録

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