ホーム > 文学・芸術, 新刊案内, 早稲田大学エウプラクシス叢書, 書評に出た本・受賞した本 > 李賀詩論
![]() |
![]() |
中国唐代の「鬼才」、詩人・李賀の表現者としての有り様を浮かび上がらせる。李賀の詩における詩語や詩句、およびモチーフに焦点を絞り、表現上の試行の独自性を、複層的な観点から明らかにする。李白・杜甫・韓愈・白居易といった詩人たちによる類型表現との比較を通して、それぞれの表現を通時的・共時的に読み深める。李賀は、どのように先行する表現を受容したのか、あるいはそれと対峙したのか。そして、李賀はいかにして表現者としての自己を自律的に語っていたのかを探る。
1988 年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科文芸・言語専攻修了、博士(文学)。早稲田大学高等学院教諭。
前 言
凡 例
序 論
一 本書の目的
二 全体の構成
上 篇 表現における試行
第一章 既成の詩語の独自的使用――「落照」と「飛蛾」を例として
はじめに
一 李賀以前の詩における「落照」について
二 李賀の詩における火勢の衰えた灯火を示す詩句について
三 李賀以前の詩賦における「飛蛾」について
おわりに
第二章 「花作骨」の批評効果とその淵源
はじめに
一 先行研究の整理
二 「A作B」フレーズについて
三 「花作骨」の淵源
おわりに
第三章 閉塞感の表象――「酒闌感覚中区窄」の句をめぐって
はじめに
一 「中区」の解釈とそのイメージ
二 閉塞感を詠じる表現について―「覚」と「窄」の共起
三 「中区窄」の必然性
おわりに
第四章 「雁門太守行」の初二句について
はじめに
一 「黒雲圧城城欲摧」について
二 「甲光向月金鱗開」について
三 後世の詩への影響
おわりに
第五章 詩的素材の自在性――「碧血」の系譜を例として
はじめに
一 碧血故事を受容した詩作品登場の前史
二 唐詩における碧血故事の受容と展開―「蜀都賦」の発展的継承
三 碧血故事を受容した李賀詩の特質―詩材の創造的開拓
おわりに
下 篇 自己表象論
第六章 疾病表現について――自他の間を取り持つ媒介
はじめに
一 知友に送った詩における病の表象
二 弟や使用人に送った詩における病の表象
おわりに
第七章 年齢表現について――屈折と疎外の自己表象
はじめに
一 唐詩における「二十」の肖像
二 李賀の詩における「二十」の諸相
おわりに
第八章 自称表現について――表現者としての自己をめぐって
はじめに
一 「書客」の語について
二 「高軒過」―飛翔せんとする「書客」
三 「題帰夢」―現実の生活に苦しむ「書客」
四 「秋来」―「書客」としての観念的自立
おわりに
第九章 「感諷五首」論――自己認識の変容とその契機
はじめに
一 変容する語り手の位置―〈其一〉と〈其四〉の「知」字に即して
二 典故人物の描出法
三 自己認識の変容の契機―連作における〈其三〉の位置づけ
おわりに
第十章 他者としての李賀――黄景仁の李賀受容を手がかりとして
はじめに
一 作中の素材としての唐代詩人
二 表現の位相における李賀の受容
おわりに
補論 杜甫の詩における樹影の表現について
結 語
あとがき
初出一覧
索 引
英文要旨