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新刊案内

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写真:アメリカは自由をどう歌ってきたか

河野 勝 著

新書 236ページ / 本体:900円+税(2024年10月18日発売)

アメリカは、独立・建国以来、自由という概念を存立基盤に据えてきた。その国歌には、戦争を経て自由を勝ち取った誇りが刻まれている。では、アメリカに暮らす普通の人々は、日常生活の中で、自由をどのように感じ、自由について何を悩み、自由をいかに実践しようとしてきたのか。本書は、ボブ・ディラン、ジョニ・ミッチェル、リッチー・ヘヴンス、イーグルス、ニール・ヤング、マルティナ・マクブライドなどによるポピュラー音楽の作品を題材に、その軌跡を辿る。人々の心を揺さぶってきたのは、人種差別への抵抗、政権への批判、社会的弱者への眼差し、家庭内暴力の告発、「本当の自分」を生きることへの切望を表現した、数々の名曲である。実証政治学者として欧米でも高く評価される筆者が、独自の歌詞テキスト分析や現役ミュージシャンへのインタビューなどを織り交ぜ、アメリカの自由を論じる。

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写真:〈世界〉としての窓

坂牛 卓 / 平瀬有人 著

新書判 296ページ / 本体:1,000円+税(2024年9月30日発売)

本書は、第一線で活躍する二人の建築家が、さまざまな芸術における“窓(フレーム)的表現”を参照しながら、それが私たちの暮らしや世界観と密接に結びついていることを、建築家としての現場での経験をもとに明らかにし、「世界」と「窓」とをめぐる従来の議論に建築論的転回をもたらさんとする野心的な論考である。演劇(プロセニアムアーチ)や絵画(額縁)、映画(フレーミング)など、異なる表現における「窓」の役割を分析するいっぽうで、風景を切り取るフレームとしての窓、建物の内外をつなぐ通路としての窓、建物の内部で隔てられた空間同士をつなぐ窓といったように、建築における「窓」の機能についても、独自の視点から多角的な分析を加える。その目線は、近代建築の超克まで見据えており、建築論や都市論の読者はもちろんのこと、メディア論や表象文化論の読者にも楽しんで頂ける、奥の深い内容となっている。

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写真:Semantic Externalism and Cognitive Linguistics

Tomohiro Sakai 著

A5判 396ページ / 本体:7,000円+税(2024年9月20日発売)

 分析哲学では外在主義がほぼ定説となっている一方、チョムスキー以降の言語学では内在主義が当然視されている。両主義の間には明白な対立があるにもかかわらず、哲学者が現代言語学の研究に言及することはほとんどなく、逆に言語学者が外在主義に言及することもほとんどない。
 外在主義が「言語表現は外的環境の事物を指示し、文は真理値をもつ」ことを前提とするのに対し、チョムスキーは「意味の理論にとって指示や真理の概念は無用である」との立場をとってきた。しかしながら認知言語学はチョムスキー派言語学と異なり、言語使用者と外的環境の相互作用が意味と概念の成立基盤をなすと考える理論であり、外在主義と無関係ではありえない。
 外在主義の想定と認知言語学の想定の両立可能性を仔細に検討し、哲学と言語学の架橋を図った画期的研究。※全編英語

Externalism is the philosophical thesis that meaning and mental content are partly dependent for their individuation on one’s social or physical environment. If externalism is true, then two speakers who are molecule-for-molecule identical may nevertheless have different thoughts and mean different things by employing exactly the same word forms. Externalism and its implications have not received sufficient attention in the linguistics literature.
 The goal of this book is to investigate the relationships between externalism and cognitive linguistics. Human cognition is biased toward both the internalist conception of linguistic meaning and the externalist conception of natural kinds. Neither bias is rooted in reality. Social externalism coheres with cognitive linguistics. Physical externalism, by contrast, is incompatible not only with cognitive linguistics, but also with biology, chemistry and the philosophy of science. Nevertheless, the physical externalist intuition can be accommodated by the cognitive linguistic apparatus.

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写真:心身論の挑戦

村松 聡・宮田 裕光・小村 優太 編著

新書判 418ページ / 本体:1,300円+税(2024年9月6日発売)

心と身体はどのような関係なのか――。この問いは古来より人々に探求されてきた。心と身体は異なるものなのか、あるいはどのようにつながっているのか。心理学、哲学、仏教研究、東洋思想、文化史、文化人類学、教育学において、それぞれの視点から心と身体のつながりを問い直す。異分野間を横断する13章が新たな地平を切り拓く。人間観が深まる、心身論の最前線。

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写真:後漢書 列伝[一]

劉宋・范曄 著 / 唐・李賢 注 / 渡邉 義浩 訳

文庫判 564ページ / 1,300円+税(2024年8月9日発売)

大好評の「後漢書」シリーズ第5巻に当たる本書では、臣下の伝記を収めた「列伝」の1巻目として後漢初期の英傑35人の伝記を収録。動乱の時代を生き抜いた、二千年前の洞察と智謀とが克明に綴られる。

【収録人物】
劉玄、劉盆子、王昌、劉永、龐萌、張歩、李憲、彭寵、盧芳、隗囂、公孫述、斉武王劉縯、趙孝王劉良、城陽恭王劉祉、泗水王劉歙、安成孝侯劉賜、成武孝侯劉順、順陽懐侯劉嘉、李通、王常、鄧晨、来歙、鄧禹、寇恂、馮異、岑彭、賈復、呉漢、蓋延、陳俊、臧宮、耿弇、銚期、王覇、祭遵

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写真:グローバル社会の消費者心理

寺﨑 新一郎 著

新書判 196ページ / 本体:900円+税(2024年6月7日発売)

 カントリー・バイアスとは、外国に対する先入態度をいう。例えば、日本との外交問題をきっかけに中国や韓国で時折表面化する反日感情は、「消費者アニモシティ(敵対心)」というネガティブなカントリー・バイアスでとらえられる。反対に、海外の多くの人たちが日本に対してもつ「日本製品は安くて品質がいい」「日本の漫画やアニメ、ゲームは面白い」というイメージは、「消費者アフィニティ(好意、愛着、感嘆)」というポジティブなカントリー・バイアスでとらえられる。
 従来、学界やメディアではネガティブなカントリー・バイアスが取り上げられることが多かった。しかし、本書はポジティブなカントリー・バイアスに注目する。ポジティブなそれを理解することこそが、外国人の日本製品・サービスに対する評価に好ましく作用し、長きにわたり日本のファンになってもらう契機になるからである。
 日本がいかに世界の人々の〈こころ〉をつかみ、それによって自国の製品・サービスの海外進出を促進するのか。ひいては、日本という国家のイメージを底上げしていくのか。『多文化社会の消費者認知構造』で数々の学会賞を受賞した気鋭の研究者が、ビジネスパーソンにもわかりやすく書き下ろした一冊。
 これを読まずしてこれからのマーケティングは語れない!

【推薦のことば】
多文化社会と呼ばれる今日、カントリー・バイアスという先入観で溢れている。本書には、そうした先入観を理解し、多文化社会を生き抜くための洞察が詰まっている。――恩藏直人(早稲田大学商学学術院教授)

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写真:後漢書 志[二]

西晉・司馬彪 著 / 梁・劉昭 注 / 渡邉 義浩 訳

文庫判 684ページ / 本体:1,500円+税(2024年4月25日発売)

大好評「後漢書」シリーズ第4巻は、前巻に引き続き、制度史に当たる「志」を取り上げる。「天人相関説」による自然哲学、地方行政制度、官制・職制、宮中での乗りものと装束についての礼制――後漢帝国、激動の196年間を読みとくための、もう一つの視角がここにある。

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写真:大村はま国語教室の単元学習

甲斐 伊織 著

A5判 270ページ / 本体:4,000円+税(2024年4月5日発売)

大正時代に起きた新教育運動以降、国語教育において学習者が主体的に学ぶ教育思想、教育実践は繰り返し強調されてきた。しかし、そのような立場は、一般化されたものにはならなかった。本書は、単元学習の実践者として広く知られる大村はま(1906~2005)の実践を研究の対象とし、その課題の克服に向けた知見を得ることが目的である。大村国語教室における個別の単元の成立の背景には、大村の教材研究やそれに基づく手引きなど、大村個人の力量によるものと共に、もう一つの要因がある。それは、大村の指導によって教室に蓄積されてきた学習者の学習経験である。本書では、大村国語教室における学習経験の蓄積の復元・考察を通して、今日の国語教室と共通する、主体的な言語活動を成立させる要素や単元相互の関連、および個々の単元が果たす役割について考察する。

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写真:横穴式石室の築造技術と造墓集団

青木 弘 著

A5判 320ページ / 本体:4,000円+税(2024年3月15日発売)

本書では、群馬県と埼玉県の横穴式石室を対象に、古墳の階層性を成立させた築造技術体系と造墓集団に迫る。横穴式石室は、複雑な工程と多様な技術が駆使された土木建造物であり、およそ6世紀から7世紀にかけて、各地で膨大な数が築かれた。横穴式石室の築造技術を分析することで、造墓集団の地域展開を明らかにする。また、分析にあたり実施した横穴式石室の調査では、文化財への利用が促進されている三次元計測やSfM/MVS(Structure from Motion/ Multi-Video Stereo)を活用し、定性的分析や定量的分析を実践することで、個別の成果に加えて、3D技術を用いた調査・研究方法の利点や課題を示す。

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写真:勇気と覚悟

早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センター 編

A5判 352ページ / 本体:4,000円+税(2023年12月25日発売)

2019年4月、早稲田大学 先進理工学部に一人の全盲の学生が入学した。小学2年生の時に全盲となった彼女は、筑波大学附属視覚特別支援学校中学部、都立高校を経て、早稲田大学を受験。みごと現役合格を果たしたのである。そこで課題に直面したのは早稲田大学であった。はたして、どのようにすれば全盲の学生に大学の実験科目を履修してもらうことが可能なのか。この課題に、中心となって対応したのが、早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センターの技術部に所属する技術職員たちであった。彼らはつねに彼女に寄り添いながら、学内外のステークホルダーたちを巻き込みつつ、高等教育機関として、当該の実験科目を通じて彼女に何を伝えるべきなのか、という根本的な問題意識の下に奔走する。その技術部の視点から綴った、現場からの報告が本書である。ダイバーシティやインクルージョンの重要性が叫ばれるなか、視覚障害教育に携わる人たちにとってはもちろん、すべての教育関係者にとって貴重な示唆に富んだ、他に類を見ない一冊である。

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