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劉宋・范曄 著 / 唐・李賢 注 / 渡邉 義浩 訳
文庫判 596ページ / 本体:1,350円+税(2025年8月1日発売)
大好評「後漢書」シリーズ第8巻は「列伝」の4巻目。後漢初~中期の安定を支えた臣下たちの伝記を収録する。まずは袁安。霊帝(後漢末期の第12代皇帝)死後の宮廷を牛耳る董卓と対立し諸侯同盟の盟主として活躍した袁紹の祖先にあたる。「孟氏易」を家学とし、「四世三公」(最高位にある3つの官職の経験者を4代にわたり輩出したこと)とうたわれた名門「汝南袁氏」の基礎を築く。さらには王充。当時広く信仰されていた陰陽五行説や儒教による讖緯思想を非合理として否定し、天を主宰神ではなく物体であると主張した。そして班超。歴史家の家系に生まれながら武功を求めて西域へ赴き、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」と、匈奴と対峙。ついには50余国を平定し、後漢に最大版図をもたらす。自身の志を貫いたからこそ成しえた偉業の数々。
【収録人物】
第五倫、鍾離意、宋均、寒朗、東海恭王劉彊、沛献王劉輔、楚王劉英、済南安王劉康、東平憲王劉蒼、阜陵質王劉延、広陵思王劉荊、臨淮懐公劉衡、中山簡王劉焉、琅邪孝王劉京、朱暉、楽恢、何敞、鄧彪、張禹、徐防、張敏、胡広、張酺、韓棱、周栄、郭躬、陳寵、梁慬、楊終、李法、翟酺、応奉、霍諝、爰延、徐璆、王符、仲長統、千乗哀王劉建、陳敬王劉羨、彭城靖王劉恭、楽成靖王劉党、下邳恵王劉衍、梁節王劉暢、淮陽頃王劉昞、済陰悼王劉長ほか。
小倉 聖 著
A5判 302ページ / 定価:5,000円+税(2025年6月27日発売)
古代中国において、「刑徳」は政治・時令・災害と関わる概念だったが陰陽学説を取り入れ、やがて陰陽・術数の概念を持つようになり吉凶を示すものとなった。移動形態・移動周期に基づいた占いに用いられた「刑徳」には、主に北斗七星の動きに連動した「刑徳七舎」と、太陰の動きに連動した「二十歳刑徳(刑徳大遊)」、日(六日)毎の移動である「刑徳小遊」の理論がみられる。それらの理論の変遷を解明する、刑徳理論の完全版。自然科学的理論である陰陽と五行に基づいた占術が、空間表象においてどのように考えられていたのか。古代中国人の思想に迫る。
早稲田大学坪内博士記念演劇博物館 監修/近藤つぐみ 編著
A5判 カラー口絵32ページ+本文157ページ / 本体:2,800円+税(2025年6月2日発売)
演劇に表現される戦争へのまなざし、問いかける言葉たち――。
第二次世界大戦の終結から80年、いまだ私たちは戦争が脳裏をかすめる時代に生きている。「戦争という現実を前に、芸術は何ができるのか」。この普遍的な問いに答える糸口を見出すべく、11人の研究者、ジャーナリストらが日本演劇における戦争表象のありようを捉え直す。
早稲田大学演劇博物館2025年度春季企画展「演劇は戦争体験を語り得るのか――戦後80年の演劇から」(会期:2025年5月12日―8月3日)に合わせて刊行!
【訂正情報】巻頭口絵におきまして、誤りがございました。お詫びのうえ、下記の通り訂正させていただきます。
正誤表(演劇は戦争体験を語り得るのか).pdf
國部 友弘 著
A5判 250ページ / 定価:5,000円+税(2025年5月26日発売)
ライトノベルとは、その表現がパターンの組み合わせによって構成されていることが自覚された小説である。この自覚は、物語やキャラクターを独創的・唯一的なものとして捉えることを困難にしてしまう。しかしゼロ年代(2000年~2009年)頃におけるライトノベル作品には、表現がパターンの組み合わせであることを引き受けた上で、それでも物語やキャラクターを唯一的なものとして描こうとする多様な試みが認められる。その萌芽を示した『スレイヤーズ』、そして『涼宮ハルヒの憂鬱』『キノの旅』『All You Need Is Kill』『とある魔術の禁書目録』『僕は友達が少ない』『ソードアート・オンライン』というゼロ年代を代表する諸作品を詳細に読解し、それぞれのストラテジーを明らかにする。
藁谷 友紀・熊谷 善彰 編
四六判 341ページ / 定価:1,800円+税(2025年5月23日発売)
彼らはいかに変革を成し遂げたのか――。経済・社会のダイナミズムが問われるいま、リーダーたちの生の声に触れ、未来のヒントを得る。早大人気講義、待望の書籍化。
渡邉 義浩 著
新書判 312ページ / 本体:1,200円+税(2025年4月30日発売)
古来、中国の歴史は「物語」により表現されてきた。その伝統は、周代の金文に始まり、以降「物語」は、諸子百家による啓蒙活動に用いられ、前漢になり儒教が国教の地位を得ると、その経典の解釈書に採り入れられていく。続く後漢において「古典中国」(後世の中国が規範とした中国の原型)が成立すると、訓詁学の隆盛を背景に『春秋左氏伝』が「物語」と歴史との接点を回復し、「史伝」へと発展。やがて『史記』を起源とする紀伝体にくわえ、『漢書』のように国ごとに歴史を描く断代史の体裁が定められ、国家が自らの正統性を担保するための「正史」という形で結実する――本書では、「物語から史書へ」と至る以上の経緯を、『尚書』『尚書大伝』『詩経』『韓詩外伝』『論語』『墨子』『孟子』『荀子』『荘子』『韓非子』『春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』『春秋左氏伝』『国語』『史記』『漢書』『三国志』といった数多くの古典から引用しつつ、古代中国において思想と国家が「物語」によって正統化されていく実相として、ひもといていく。
劉宋・范曄 著 / 唐・李賢 注 / 渡邉 義浩 訳
文庫判 640ページ / 本体:1,400円+税(2025年4月25日発売)
大好評「後漢書」シリーズ第7巻は、臣下の伝記を収めた「列伝」の3巻目。後漢「儒教国家」を支えた文官たちの生涯を辿る。たとえば班固。国史改作の汚名を着せられながらもその冤罪を晴らし、やがて『漢書』編纂をなしたという。さらには鄭玄。儒学の師として馬融のもとに弟子入りするも、馬融に3年間会えないまま勉学に勤しむことを余儀なくされたという。艱難辛苦に屈することなく、巨大な事跡を残した傑物たちの物語。
早稲田大学台湾研究所 編
B5判 96ページ / 本体:1,600円+税(2025年4月18日発売)
アジアについての研究成果を広く一般の読者に発信するジャーナル、リニューアル第2弾!
特集①は「日台漫画論」。いまや、日本を代表する文化の一つでもあり、重要な輸出産業ともなっている漫画。その日本漫画の影響を汲みながら、WEBを舞台に新たな作品世界を開花させつつある台湾漫画。日本と台湾の漫画のいま・むかしを考えます。
特集②は「学生運動を考える」。不確実な時代の今、学生運動について改めて考えます。歴史上、世界の至るところで、若者たちは主張し行動を起こしてきました。目的や方法、規模や結果の違いはあっても未来のために理想を求めたかれらの姿勢に注目、その事実を無駄にすることなく、理解と教訓を得るために多角的な検証を行います。『レッド』の作者、山本直樹氏のインタビューも掲載!
そのほか、編集長インタビューにデヴィ・スカルノ夫人も登場するなど今号も盛りだくさんの内容です。
宮本 健市郎・佐藤 隆之 著
A5判 418ページ / 定価:7,000円+税(2025年4月10日発売)
1890年代から1910年代、アメリカでは革新主義が潮流となるなか、「よい市民」の形成が試みられていた。子どもひとりひとりを尊重する進歩主義教育が台頭しつつも、一つの国家としての統一が目指されていた時代。「よい市民」形成という壮大な市民性教育の実験は、学校が社会と結びつき、その役割を変容させていきながら行われた。本書では遊び場運動、社会センターとしての学校、コミュニティ・センター運動、国旗掲揚の儀式、帰化プロジェクトの授業などをとりあげ、それらを主導したジョセフ・リー、クラレンス・A.ペリー、ジョン・デューイらの思想とともに、「よい市民」の理念と実態を考察する。対照的な「多様性の尊重」と「愛国心の教育」はどのように結びつき、実践されたのか。著者二人の約20年にわたる共同研究の集大成。
Administration and Technology Management Center for Science and Engineering, Waseda University
A5判 349ページ / 定価:4,000円+税(2025年4月3日発売)
2023年12月に発売し大好評を博した『勇気と覚悟――視覚障害学生の実験教育における技術支援』の英語版。
2019年4月、早稲田大学 先進理工学部に一人の全盲の学生が入学した。小学2年生の時に全盲となった彼女は、筑波大学附属視覚特別支援学校中学部、都立高校を経て、早稲田大学を受験。みごと現役合格を果たしたのである。
はたしてどのようにすれば、全盲の学生に大学の実験科目を履修してもらうことが可能なのか。この課題に中心となって対応したのが、早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センターの技術職員たちであった。つねに彼女に寄り添いながら、学内外のステークホルダーたちを巻き込みつつ、高等教育機関として実験科目を通じて彼女に何を伝えるべきか、という根本的な問題意識の下に奔走した彼ら。その現場からの報告。