「平和宣言」全文を読む
ヒロシマの祈り

平和ボケしているのか。それとも戦争ボケしているのか―。広島市長が毎年8月6日に読み上げる「平和宣言」は、戦争被爆国になった日本の「戦争の世紀」を思い起こさせる特別な機会。その基調は原爆死没者慰霊碑に刻まれた「過ちは繰返しませぬから」である。 「核の時代」に生きる私たちは、「戦争の世紀」に犯した過ちを繰返さないと言い切れるか。1947年の第1回平和宣言は「原子力をもって争う世界戦争は人類の破滅と文明の終末を意味する」「永遠に戦争を放棄して世界平和の理想を地上に建設しよう」と呼び掛けた。 それから75年。核兵器の削減は進まない。平和宣言全文に加え、歴代3市長のロングインタビューを収めた本書。核兵器禁止条約が2021年1月に発効したのを機に、核廃絶と世界平和実現の道筋を示す。待望の「平和研究・学習のためのテキスト」が誕生しました！！『「平和宣言」全文を読む―ナガサキの願い』の姉妹編。

　(制作協力：広島市、広島大学平和センター、中国新聞社)

松井 一實（まつい・かずみ）
広島市長。1953年広島市生まれ。広島市内の小中高校を卒業。京都大学法学部卒業後、76年に労働省に入省。89年に在英国日本大使館一等書記官、93年労働省婦人労働課長、94年同省高齢者雇用対策課長、2003年厚生労働省勤労者生活部長、06年同省大臣官房総括審議官（国際担当）・ILO 理事（政府代表）を経て、08年中央労働委員会事務局長。11年4月の広島市長選に出馬し、初当選。同年4月から市長に就き、3期目（21年2月現在）。

秋葉　忠利（あきば・ただとし）
前広島市長。1942年、東京生まれ。東大理学部数学科卒、同大学院修士課程修了。マサチューセッツ工科大学で博士号（Ph.D.）を取得後、タフツ大学准教授。世界のジャーナリストを広島・長崎に招待し、被爆の実相を伝えてもらう「アキバ・プロジェクト」の運営に携わり、広島修道大学教授に。90年から衆議院議員を3期9年務める。99年2月に広島市長に就き、3期12年務めた。2010年、アジアのノーベル賞といわれる「マグサイサイ賞」を受賞。

平岡　敬（ひらおか・たかし）
元広島市長。1927年大阪市生まれ。広島県出身。父親の事業のため朝鮮半島で育つ。旧制広島高等学校を経て早稲田大学第一文学部卒。52年、中国新聞に入社し、朝鮮人被爆者の取材に取り組む。75年同社編集局長、その後、中国放送に移り86年に同社社長。91年２月の市長選で初当選。99年2月まで市長を2期8年務める。

川野　徳幸（かわの・のりゆき）
広島大学平和センター長兼教授。博士（医学）。1966年生まれ。鹿児島県出身。92年、米国Doane College卒。広島大学大学院修士課程・博士課程修了。同大原爆放射線医科学研究所の勤務を経て2008年同大平和科学研究センター（現平和センター）准教授。13年同教授。専門は原爆・被爆研究、平和学。被爆者、カザフスタン共和国セミパラチンスク地区の核実験被害者、チェルノブイリ原発事故被害者の心理的影響と社会的被害について調査研究を続ける。松井一實・広島市長が座長を務める「平和宣言に関する懇談会」のメンバー。

まえがき　　川野徳幸（広島大学平和センター長兼教授）

第１章　平和宣言　松井一實市長（２０２１～２０１１年）
　　　　／市長　松井一實氏に聞く　　　
第２章　平和宣言　秋葉忠利市長（２０１０～１９９９年）
　　　　／前市長　秋葉忠利氏に聞く　　
第３章　平和宣言　平岡敬市長（１９９８～１９９１年）
　　　　／元市長　平岡敬氏に聞く
第４章　平和宣言　荒木武市長（１９９０～１９７５年）
第５章　平和宣言　山田節男市長（１９７４～１９６７年）
第６章　平和宣言　濱井信三市長〈第２期〉（１９６６～１９５９年）
第７章　平和宣言　渡辺忠雄市長（１９５８～１９５５年）
第８章　平和宣言　濱井信三市長〈第１期〉（１９５４～１９４７年）

あとがきに代えて　早稲田大学出版部 編集部