
![]() |
「考えが韻を選び、韻がコトバに社会性を導き入れる。そして批評が歴史を記す。」
――いとうせいこう(作家・クリエーター)
アメリカによるイラク空爆、東日本大震災、安全保障関連法の成立――2000年代になり、日に日に濃くなる抑圧の影。そうした時代の空気に対して日本語ラップは鋭く反応してきた。米軍基地の町に暮らす人々や移民たちの声ものせ、歌われた抵抗の言葉の数々。ECD、Awich、NORIKIYO、DARTHREIDERらのリリックを辿るとともに、元SEALDsの「コーラー」牛田悦正のインタビューも収録し、運動の現場の声も伝える。ここに照らし出されるポリティカル・ラップの系譜!
1961年長崎県長崎市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。文芸批評家、作家、フランス語圏文学研究者。主な著書に『じゃがたら』『ヒップホップ・ジャパン』『フランス暴動 移民法とラップ・フランセ』『世界史の中のフクシマ ナガサキから世界へ』『テロルの伝説 桐山襲烈伝』『泥海』『ザ・ブルーハーツ ドブネズミの伝説』(いずれも河出書房新社)、『フットボール都市論 スタジアムの文化闘争』(青土社)、『戦争へ、文学へ 「その後」の戦争小説論』(集英社)、『サッカーと人種差別』(文春新書)、『魂の声をあげる 現代史としてのラップ・フランセ』『バンリュー フランス団地映画の軌跡』(いずれもアプレミディ)、『ジダン研究』(カンゼン)などがある。
はじめに
凡例
第一章 サウンドカーに飛び乗る――ゼロ年代の風景
二一世紀から始める/二〇〇三年三月の記憶/極私的関係を作る――「言うこと聞くよな奴らじゃないぞ」/日本語ラップの一人称/「殺すな」の現在形――HAIIRO DE ROSSI/地方への波及――THA BLUE HERB/映画『サウダーヂ』から/ゼロ年代の終わりに
第二章 大震災のあとで――復興と批判のあいだ
なにか、できること/そりゃ、ないよ/言うこと聞かせる番だ俺たちが/ECD登場/一人称の問題/物語から遠く離れて/まぁまだまだひるむわきゃいかねぇ/「薪をくべる」――GAGLE
第三章 基地のうちそと――沖縄と大和のフェンスをめぐって
壮大さへの距離感――Awich/自伝的な、あまりに自伝的な/ラップの言葉と「国語」/うちなーぐちの導入/意味と音声/大和という町――映画『大和(カリフォルニア)』/普通って何? 常識って何?
第四章 コール、ラップ、コレスポンダンス――元SEALDs 牛田悦正インタビュー
ただの学生として/コーラーになる/ラップはしない/二重の意味に聴こえる/器にならなければならない/音として/Worldwide Skippa について/別の道/政治とヒップホップを切り離す/少しだけECDのこと
第五章 移民のラッパーたち――GREEN KIDS、Moment Joon、DARTHREIDER
フランスの移民文化/ペルーとブラジルと、そして磐田/スペイン語の混在/アヤ・ナカムラと政治/オノマトペの効力/入管をラップする/入管とヒップホップ/ラップする資格/レイシズムと闘うために/身体の具体性/「われ怒りて視る」
あとがき