ホーム > 政治経済・法律・ビジネス, 新刊案内 > ドイツにおける労働者の共同決定
ドイツにはコーポレートガバナンスのあり方の一つとして、会社経営の意思決定に労働者の半数を代表する者が参画する「労働者共同決定制度」が存在する。著者はこの分野の第一人者であり、長年にわたる研究成果として、同制度の歴史的経緯、現状と問題点をまとめた一冊。
これさえあれば、ドイツ労働者共同決定制度のすべてがわかる。すべての企業法研究者におすすめの一冊。
正井 章筰
早稲田大学名誉教授、博士(法学)〔神戸大学〕。
神戸大学法学部卒業、同大学法学研究科(博士課程)単位取得退学。
熊本大学法文学部講師、同法学部助教授、姫路獨協大学教授、大阪学院大学教授を経て、2001年4月、早稲田大学法学部教授。
同大学退職後、2015年から4年間、常葉大学勤務。2021年11月、逝去。
主な著作として、『共同決定法と会社法の交錯――ドイツとECにおける論争』(成文堂、1990年)、『ドイツのコーポレート・ガバナンス』(成文堂、2003年)、『企業法総論』(編著)(中央経済社、2004年)、『会社法講義』(共著)(日本評論社、2014年)など。
尾形 祥
早稲田大学法学学術院教授
菊田 秀雄
駿河台大学法学部教授
内藤 裕貴
東北学院大学法学部准教授
はじめに
第1編 フランス革命からドイツ帝国の成立に至るまで(1789-1871年)
第1章 序論――フランス革命後のヨーロッパの政治・経済体制
第2章 19世紀前半の労働者代表制の構想
第3章 1848年の三月革命――パウロ教会憲法と営業法草案
第4章 カール・マルクス―思想と行動
第5章 19世紀後半頃の企業家による労働者保護の施策
第6章 19世紀末までの会社制度の歴史
第2編 ドイツ帝国の成立から第―一次世界大戦に至るまで(1871-1914年)
第7章 ドイツ帝国の成立と帝国憲法の制定
第8章 ビスマルクの政策
第9章 帝国営業法とプロイセン鉱業法――制定と改正
第3編 第一次世界大戦からヴァイマル共和国の成立・崩壊まで(1914-1933年)
第10章 第一次世界大戦と祖国救援勤務法
第11章 1918年の革命――労働者・兵士評議会(レーテ)と中央労働共同体
第12章 革命後の情勢・ヴァイマル憲法・社会化条項と労働者参加法制
第13章 ヴァイマル共和国の崩壊に至る過程
第14章 労働組合の種類、自由労働組合の活動と政党との関係
第15章 労働者参加に関する思潮
第4編 ナチス政権の時代(1933-1945年)
第16章 ヒトラーの権力掌握・独裁と政策
第5編 第二次世界大戦後からドイツの再統一に至るまで(1945-1990年)
第17章 連合国の占領政策
第18章 占領下における状況――労働組合の再建と労働者の参加法制
第19章 ドイツ連邦共和国基本法の制定
第20章 東ドイツの体制と労働法
第21章 西ドイツの経済政策――社会的市場経済
第22章 1951年石炭・鉄鋼共同決定法
第23章 1952年事業所組織法――制定と展開
第24章 労働者参加に関する社会民主党の見解
第25章 1965年株式法の制定
第26章 1976年共同決定法――制定と展開
第6編 ドイツの再統一から現在まで(1990年-)
第27章 東ドイツ時代の施策の処理と再統一
第28章 共同決定制度の展開(1994年から2004年まで)
第29章 事業所共同決定制度――事業所組織法の規制
第30章 1990年以降の共同決定制度をめぐる議論
第31章 1990年代末以降の監査役会に関係する企業法制
第32章 シュレーダー政権の施策――ハルツ改革
第33章 メルケル政権の労働法・社会保障法に関する施策
第34章 ドイツの共同決定制度に対するEUの法制からの影響
第35章 イギリスのEU離脱・その影響
第36章 デジタル化の雇用への影響――「労働4.0」
第37章 企業共同決定制度の現状と問題点
おわりに――総括・展望
あとがき
索引