早稲田大学出身のジャーナリスト・政治家、中野正剛(1886-1943)。筋金入りのリベラリストとして知られながら、ヒトラーやナチスに傾倒。その一方で、日本の軍部独裁を厳しく批判し、東条英機内閣の転覆容疑で逮捕された後、割腹自殺を遂げた。
大衆とともにあろうとし続けた稀代の政治家の足跡と、一見矛盾とも見える数々の行動の背景にあった政治理念を、中野自身の著作や緒方竹虎など知人の証言から読み解く。戦前の日本政治史研究に一石を投じる書。
早稲田大学名誉教授。
1940年生まれ。1963年、早稲田大学第一文学部史学科卒業後、同大学大学院文学研究科に学ぶ。1970年~1972年、DAAD奨学生としてドイツ連邦共和国ハイデルベルク大学に留学。1978年、文学博士(早稲田大学)の学位を取得。
主な著書:『宗教政党と政治改革――新たなドイツ現代史像の素描――』(早稲田大学出版部、1977年)、『ドイツ軍部の政治史――一九一四~一九三三――』(早稲田大学出版部、1989年)。
まえがき
第一章 ヒトラー礼讃の意味
第二章「先輩凌轢」──犬養との訣別
第三章 東條弾劾
第四章 対支政策論──日中友好の模索
第五章 もう一つの目眩まし――『人間中野正剛』は「友情の書」か
あとがき
初出一覧