ホーム > 政治経済・法律・ビジネス, 新刊案内 > 核なき時代をデザインする
専門知の結集により、核軍縮と安全保障をめぐる議論に新たな突破口を見出す。安全保障を損ねることなく、核なき世界を実現するための15の提言。
「大事な点は、核抑止が『特定の環境』の下でのみ成り立つ『安定』である現実を直視して、半永久的に核抑止に依存する選択は国の安全も個人の安全も保障するものではないとの基本認識を、私たちの未来を考える起点にも終点にもすることである。」――本書第5章より
吉田 文彦(よしだ・ふみひこ) 長崎大学核兵器廃絶研究センター センター長・教授
遠藤 誠治(えんどう・せいじ) 成蹊大学法学部教授
佐藤 丙午(さとう・へいご) 拓殖大学国際学部教授
真山 全(まやま・あきら) 大阪学院大学国際学部教授
中尾 麻伊香(なかお・まいか) 広島大学大学院人間社会科学研究科准教授
向 和歌奈(むかい・わかな) 亜細亜大学国際関係学部准教授
西田 充(にしだ・みちる) 長崎大学多文化社会学部教授、同大学グローバルリスク研究センター 副センター長
牧野 愛博(まきの・よしひろ) 朝日新聞記者、広島大学客員教授
小伊藤 優子(こいとう・ゆうこ) 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構 大洗原子力工学研究所
堀部 純子(ほりべ・じゅんこ) 名古屋外国語大学世界共生学部准教授
樋川 和子(ひかわ・かずこ) 長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長・教授
河合 公明(かわい・きみあき) 長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長・教授
まえがき
第1部 多角的な研究報告
第1章 国際政治と核兵器(吉田文彦・中尾麻伊香・向和歌奈・西田 充・牧野愛博・遠藤誠治)
1 はじめに(吉田文彦)
2 核兵器と人間(中尾麻伊香・吉田文彦)
3 ロシアによるウクライナ侵攻がもたらした核抑止・核軍縮に係る課題(向和歌奈・吉田文彦)
4 P5/N5による秩序維持の枠組みの脆弱化(西田 充)
5 変化するアジア・太平洋における安全保障環境(牧野愛博)
6 国際政治論と核兵器(遠藤誠治・吉田文彦)
7 おわりに――力だけでは生存競争で成功しない(吉田文彦)
第2章 核不拡散と軍縮(佐藤丙午・小伊藤優子・堀部純子・西田 充・樋川和子)
1 はじめに――核不拡散体制の構図
2 核兵器不拡散をめぐる政治的考察(佐藤丙午)
3 核不拡散体制の基盤としてのNPT(小伊藤優子)
4 核不拡散措置の可能性――不拡散を通じた核廃絶への道(堀部純子)
5 核廃絶に向けたプロセスとポストNPTへのトランジッション(西田 充)
6 核廃絶後のポストNPTの姿・安定化スキーム――「核不拡散レジーム」から「核廃絶レジーム」へ(樋川和子・西田 充)
7 核不拡散政策の将来に向けて
8 おわりに――核廃絶の意味するもの
第3章 安全保障の共通言語としての国際法(河合公明・真山 全・樋川和子)
1 はじめに――国際政治と国際法(河合公明)
2 武力行使に関する法と核兵器(河合公明)
3 国際人道法と核兵器(真山 全)
4 軍縮国際法と核兵器(樋川和子)
5 おわりに――共通言語としての国際法(樋川和子)
第2部 「統合知」からの発信
第4章 核兵器の総合的評価(吉田文彦・遠藤誠治・佐藤丙午・真山 全)
はじめに――激動期における二項対立の克服に向けて
1 核兵器とモラルの歴史的経緯
2 核抑止と大規模戦争不在の歴史
3 継続される「必要悪」論
4 核抑止と安全保障政策
5 核抑止論の前提と限界
6 核抑止破綻の偶発的リスク
7 新興技術と核兵器
8 核発射権限者に関するリスク
9 核兵器と国際人道法
10 NPTの意義と持続可能性
11 核抑止と軍備管理
12 NPTと原子力平和利用
13 「核不拡散レジーム」から「核廃絶レジーム」への移行
14 核兵器の総合評価
第5章 提言――安全保障のための核軍縮と核廃絶(吉田文彦・遠藤誠治・佐藤丙午・真山 全)
1 はじめに――持続可能な「核兵器のない世界」に向けて
2 安全保障を損なうものとは何か
3 核廃絶を実現するための三本柱その1:安全保障のシフト(Security Shift)
4 核廃絶を実現するための三本柱その2:核廃絶への制度構築(Regime Building)
5 核廃絶を実現するための三本柱その3:持続可能な核廃絶(Sustainable Zero)
6 おわりに――「人新世」で求められる基本原則
あとがき
索引