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日本人と言葉
貧困化の背景を読む

原口 厚 著

新書判 252ページ

本体:1000円+税(2024年11月15日発売)

ISBN:978-4-657-24013-2

TSUTAYA
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MARUZEN & JUNKUDO
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作品概要

あなたは〈何を伝えたい〉のか――。
〈ヤングケアラー〉〈エッセンシャルワーカー〉などカタカナ語の安易な横行。責任ある言動を放棄し、心地良い〈ポエム〉ばかりを口にする政治家たち。〈ご確認ください〉〈見直し〉といった言葉の決まり文句化……。ますます貧困化が進む私たちの日本語。戦前から現代にいたる社会・教育を振り返りながら原因を探るとともに、日本人が〈理と言葉による意見展開〉ができるようになるための対応策を考える。

著者プロフィール(編者、訳者等含む)

早稲田大学商学部元教員。在職時の専門はドイツ語学・ドイツ語教育。特に、乏しい語彙と文法でテクスト内容を把握する読解法の理論・方法に関する研究及び実践を活動の中心とした。

目次など

はしがき

第1章 言葉の貧困の諸症状と対応策
 1 言葉の仕組み――ティッシュは机かちり紙か
 2 出発点にある問題――こちらがお答になります
 3 〈する〉と〈なる〉――結婚は意志か成り行きか
 4 理由を挙げる――〈なぜ〉を言わないのはなぜ
 5 質問は正面から打ち返す――パンはご飯か ご飯はパンか
 6 言い換えは言葉の破壊――昔転進、今反撃
 7 母語の貧困と外国語能力――ヤクザは特殊か
 8 カタカナ語消費と言葉の生産能力――サポートは助けにならず
 9 ポエムとカタカナ語――カタカナ・英語・やまと言葉に警戒警報
 10 〈丁寧に〉――丁寧が通って道理が引っ込む
 11 〈しっかり〉――言わずもがなのこと
 12 〈スピード感〉――速くなければこそのスピード感
 13 〈見直し〉――要見直し!
 14 婉曲的表現――〈リーズナブル〉にもやもやする気持ちをにじませるのは許されるものではない
 15 誇大な表現――疾走する路面電車に感動して号泣させていただく
 16 〈きびしい〉――きびしいばかりでは前途はキビシイ
 17  対応策

第2章 ウォークマンからスマホへ  
 1 政治・社会についての関心の低下
 2 モノ商品からコト商品へ
 3 活字文化から音楽・映像文化へ
 4 授業中の私語と万物の商品化

第3章 『なんとなく、クリスタル』
 1 気分・欲求の肯定と消費主義
 2 豊かさの肯定と活字離れ
 3 差異化への欲求とハビトゥス・文化資本
 4 「植民地的文化の匂い」
 5 不安とアイデンティティーの危機
 6 『なんクリ』が批判するもの (1)――形式と権威
 7 『なんクリ』が批判するもの (2)――量の拡大

第4章 教養主義
 1 戦前の教育制度
 2 教養主義とは
 3 教養主義の成立
 4 教養主義の特徴と機能
 5 教養主義の消滅
 6 教養主義と『なんクリ』
 7 江戸趣味の消滅

第5章 高校までの学校と入学歴社会
 1 勉学の目的と学力・知力・垂直的序列化
 2 学歴社会と受験/入学歴社会
 3 選抜と能力
 4 「溜め込み型学習」と受験芸
 5 刷り込まれる勉学/能力観
 6 対話型授業への転換

第6章 大学
 1 大学というところ
 2 外国語学習と意見形成
 3 市場原理と入学歴主義
 4 低学歴国日本と「性能第一主義」
 5 〈教養〉について
 6 参考までに

第7章 日本軍と軍学校教育
 1 社会の縮図としての日本軍
 2 言葉の欠如
 3 組織の自閉と「負の個人主義」
 4 負の言葉の過剰
 5 空虚な美文と文学・人文知の欠如
 6 員数主義
 7 人命の員数化
 8 日本軍将兵に対する評価と軍学校の概要
 9 陸軍幼年学校
 10 陸軍士官学校
 11 陸軍大学校
 12 学歴主義と組織・人事
 13 堀栄三という例外 

終章 言葉の「質の充実」に向けて

あとがき   
参考文献

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