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前川 一貴 著
A5判 266ページ / 本体:4,000円+税(2022年3月15日発売)
なぜニーチェは専門家でないにもかかわらず、数多くの生物学書を読んでいたのか。著者はその問題に思想史的なアプローチで挑み、19世紀の生物学に関連する文献を渉猟しつつ、彼の刊行著作だけでなく遺稿まで分析する。とりわけ本書で注目されるのは、1880年代に頻繁に使われる「生理学」という用語である。それはニーチェ独自の比喩表現にほかならず、文化創造の快楽を具体的に構造化するための戦略であった――。当時の歴史的文脈のなかで彼の思想の核心に迫っていく意欲的な研究。
『図書新聞』2022年9月3日号にて紹介。評者:齋藤直樹氏(盛岡大学文学部教授)
渡邉 義浩 著
四六判 280ページ / 本体:1,800円+税(2021年12月20日発売)
中国の正統な歴史書である「正史」は、いつ、どのようにして、「儒教」のくびきを脱したのか。司馬遷の『史記』はそもそも思想を語る書だった。しかし、やがて、史書として認識される。「三国志」研究の第一人者である著者は、「正史」と「儒教」の抜き差しならない関係を、時には推理小説のようにひもとき、またある時は大河小説のように活写していく。事実を記すだけでは収まらない中国史学が、国家の正統性や勧善懲悪の考えを取り込みながら、独自性と独創性を秘めることを大胆に考察する本書。西欧の近代歴史学とは異なる歴史学の位相、「ワタナベ 史学」の到達点がここにある!!
渡邉 義浩 訳
A6判 372ページ / 本体:1,000円+税(2021年12月20日発売)
孔子とその弟子の言行録である『論語』は、これまであまたの解釈本が読み継がれてきた。そのうち完全に残る最古の解釈本が、何晏の『論語集解』である。三国時代に著され、本来の孔子や初期儒家の考え方に近いといわれる。魏の曹爽のもと皇帝権力の再強化を目指した政治家の何晏が、それまでの『論語』 解釈本をもとに編纂。特に何晏は、「真理の探究には『一』を知ること」 と、 「一」に核心を置く。『論語集解』を読み解くことで、三国時代の思想と『論語』の 初期の形成過程にふれることができる。「三国志」研究の第一人者による『論語集解』現代語訳に、訳注と他の『論語』解釈本等との参校を記した、『論語』の原点が文庫版の上下巻で誕生。下巻に「解題 何晏と『論語集解』」 所収。
「解題」より
何晏は、「三国志」で有名な曹操の寵愛を受け、宮中で育った貴公子である。すなわち、何晏の『論語集解』は、三国時代の『論語』の解釈、読み方なのである。すでに孔子が生まれてから八百年が経ち、さまざまな読み方が存在した。「集解」という書名に表れるように、多くの人々の解釈を集めてはいるが、あくまでも『論語集解』は、「論語序」の最後に名を記す、何晏が正しいと考える『論語』の解釈なのである。
渡邉 義浩 訳
A6判 370ページ / 本体:1,000円+税(2021年12月20日発売)
孔子とその弟子の言行録である『論語』は、これまであまたの解釈本が読み継がれてきた。そのうち完全に残る最古の解釈本が、何晏の『論語集解』である。三国時代に著され、本来の孔子や初期儒家の考え方に近いといわれる。魏の曹爽のもと皇帝権力の再強化を目指した政治家の何晏が、それまでの『論語』 解釈本をもとに編纂。特に何晏は、「真理の探究には『一』を知ること」 と、 「一」に核心を置く。『論語集解』を読み解くことで、三国時代の思想と『論語』の 初期の形成過程にふれることができる。「三国志」研究の第一人者による『論語集解』現代語訳に、訳注と他の『論語』解釈本等との参校を記した、『論語』の原点が文庫版の上下巻で誕生。下巻に「解題 何晏と『論語集解』」 所収。
「まえがき」より
それでも「古注」は、多くの人々により、長い期間をかけて、異なる思想的状況の中で著されてきた『論語』が抱える矛盾をそのまま、われわれに伝える。津田左右吉によれば、『論語』の章の中で、孔子その人の言葉や行動を伝えるものは、半分にも満たないという。われわれは、「古注」から、それを考えていくことで、『論語』の形成過程に思いを致し、孔子の本来の教えを探ることができる。
手塚 孝典 著
新書判 210ページ / 本体:900円+税(2021年7月31日発売)
満蒙開拓団の日本人たちは1945 年8 月、ソ連侵攻により満洲(現・中国東北部)に置き去りにされ、集団自決した。
国策に従い彼ら彼女らを満洲へ送り込んだ村の有力者は、それを知り自らも死を選んだ。
時代に踊らされ、時代に流され、時代に殺された人々。時代は国そのものではなかったか――。
著者初の書き下ろしは、村の有力者が書き残した日記を手掛かりに、満蒙開拓の深層、時代と侵略の真相に迫る。
「満州事変90 年」に当たる2021 年の記念碑的ルポルタージュがここに誕生!!! きな臭い日中関係を再考するための糸口が本書に記されている。
加納 貞彦 著
A5判 428ページ / 本体:2,200円+税(2021年6月19日発売)
好評を博した『「創世記」に学ぶ(上)―21世紀の共生』の続編。「創世記」の後半で展開されるイサク、ヤコブ、ヨセフの物語を中心に解説する。古代イスラエルの民の遠い父祖たちである彼らの物語を丹念に読み解き、彼らが人間として成長を遂げ、成熟するに至る歩みに着目する。
人間的な弱さや醜さを引きずり、つまづき転びながら、それでもなおそれぞれの道を歩んでいく族長たちの姿は、現代に生きる私たちにとっても、よりよく生きるためのヒントとなるであろう。聖書を学びたい人、聖書に関心がある人におすすめの一冊。
【推薦のことば】
本書は初めて聖書に接するような人に創世記のそして聖書の面白さを教えてくれる。特に多くの若者に是非勧めたい書物である。――西永 頌(東京大学名誉教授)
将来の不透明さが増しつつあるこの時代、古代イスラエルの民の遠い父祖たちの物語を、本書をひもときながら、一度、じっくり読んでみようではないか。――月本昭男(上智大学神学部特任教授)
湯浅 有希子 著
A5判ソフトカバー 274ページ / 本体:2,800円+税(2021年4月22日発売)
江戸時代から平成にかけての医療および医療制度の分析を通じて、明治以前の「接骨」から大正以降へ続く「柔道整復」への形成過程を明らかにする。柔道整復師の成立に大きな影響を与えた天神真楊流柔術の医学理論および同流柔術家による政治活動のほか、日本柔道整復師会の活動にも言及する。
「本書は、天神真楊流柔術および江戸から平成に至る接骨・柔道整復の医療、制度について、約10年にわたる著者の研究をまとめた歴史書である。『日整六十年史』をはじめ、先人の業績を縦横に博引しながら、自らの見解を新たな柔術伝書、図版、手記、議事録等の実証的な史資料で明解に示し、丹念に分析している。一般にはほとんど知られていない柔道整復の歴史を詳細に描出した労作であり、柔道整復師の手引書として有用な一冊である」公益社団法人日本柔道整復師会会長 工藤鉄男
【出版社からのコメント】
2016年6月の刊行以来ご好評いただいてきた初版本を、このたび使いやすいソフトカバーに替え、お手頃価格の新装版としてお届けします。
加藤 一郎 著
A5判 312ページ / 本体:4,000円+税(2021年3月8日発売)
【第13回日本考古学協会賞奨励賞を受賞!】
日本列島における国家形成期とされる古墳時代、「倭王」の称号が授与された人物が存在し、「倭」の領域を支配する王権構造が機能していた。そこでは、古墳という墓制が活用され、王権構造が生成・維持・発展されてきた。本書では、倭鏡をはじめとする副葬品や埴輪など古墳の出土品を分析し、倭王権の構造や動態、そして古墳時代人の精神世界といった社会史や精神史的な側面について考察する。分析対象を、古墳時代をつうじて生産されていた複数の遺物とし、天皇陵古墳調査の最前線に立つ著者が、古墳時代像を解明する。
大槻 宏樹 著
A5判 436ページ / 本体:2,800円+税(2020年10月10日発売)
他人を頼ることは「悪」なのか。
「自立」が叫ばれるこんにち、高齢者や障がい者など他人に「依存」せざるを得ない人びとがいる。肩身の狭い思いをしながら、社会の片隅にひっそりと生きる人びと。かれらが、胸を張って生きることができる社会へ。
教育学の泰斗が放つ、現代日本への強烈なアンチテーゼ。