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小林 美希 著
A5判 288ページ / 定価:5,000円+税(2026年6月25日発売)
グローバリゼーションの進展により「日本語指導が必要な子どもたち」が増加し、教育行政が見直されるなか、現場ではさまざまな課題が顕在化している。本書では複数言語環境で第二言語として日本語を学ぶJSL(Japanese as a second language)生徒への日本語教育に20年携わった著者が、その実践とJSL生徒の変容を描く。その過程では、「言語重視」か「自己表現重視」か、と二分法的に「書く」教育を捉えていた著者が教育実践を重ねていくうちに教育観が変容し、それらを交差させた教育を実施することになる。変化の激しい21世紀、JSL生徒は自身のライフコースを切り拓くための「ことばの力」をどのように育てていけるのか。年少者日本語教育におけるリテラシー教育実践の展望を説く。
阿部 敦 著
新書判 250ページ / 本体:1,200円+税(2026年6月19日発売)
日本の介護は、「崩壊」の瀬戸際にあるのか――。
本書は、この切実な問いから出発し、「財源がないから仕方がない」「人手不足は避けられない」といった、いま広く共有されている“常識”に真正面から疑問を投げかける。
国の決算を丹念に読み解くと、毎年数兆円規模の「使い残し」や、想定を上回る税収が生じているという、あまり知られていない現実が浮かび上がる。にもかかわらず、なぜ社会保障は抑制され続けるのか。本書はこの核心に迫り、介護をめぐる政策の全体像を鮮やかに描き出す。
さらに、低賃金・重労働、人材不足、外国人材への依存、ICT化の推進といった諸問題が、市場主義のもとで連動しながら深刻化してきた構造を解明する。具体的な分析を通じて、「このまま進めば何が起きるのか」をリアルに提示する。
介護の問題を「個人の努力」ではなく「社会の仕組み」の問題として捉え直す視点が、いまこそ求められている。現状を変えるための打開策を、データと論理に基づき、説得力豊かに示す。
親の介護が気になり始めた方、仕事と介護の両立に不安を抱える方、そして自らの老後を安心して迎えたいと願うすべての人へ。日本の介護の未来を考えるための、必読の一冊。
広瀬 由美子 著
A5判 276ページ / 定価:5,000円+税(2026年6月8日発売)
現在の日本では、働き方の多様化・就業期間の長期化により人生の転機にたびたび立たされることが多くなっている。マルチステージ化とともにキャリア選択が自由になる一方、それは人生における迷いの原因ともなる。本書では、そのような迷いを解消するためには主体的な選択を可能にする確かなアイデンティティの形成が必要であるという視点から、そのための支援を考える。
もっとも重要なのは、組織や立場、世代を越えた他者と関わる「バウンダリーレスな学習環境」での学び直しの機会である。生涯学習やキャリアデザイン、学習支援に関わる理論を改めて検討するとともに、成人女性や専門学校生、ミドルシニア世代など、幅広い人々を対象として行ったプログラム実践の報告を収め、越境的環境を構築するための指針を提示する。
米田 有里 著
A5判 308ページ / 定価:5,000円+税(2026年5月22日発売)
鎌倉時代、後鳥羽院のもとで誕生した『新古今和歌集』。それは後鳥羽院が圧倒的な情熱を傾けたゆえの結晶であり、和歌史上において一つの到達点に至った。他方で、後鳥羽院は王政復古を目指し、歌壇に摂関・大臣家の歌人がつどったことは前代にない特質である。本書では政治性の強い権門勢家の貴族達の視点にたち、後鳥羽院歌壇での政治的側面を明らかにする。大臣家の土御門家と摂関家筆頭の近衛家に焦点をあて、日記類や和歌事蹟、説話などから活動を考察し、その和歌を取り上げる。中世和歌史において和歌と政治の関わりがどのように形成され、後世に引き継がれていったのかを辿る。
麻田 玲 今井夏子 志賀裕朗 北野尚宏 高原明生 編著
A5判 384ページ / 本体:4,200円+税(2026年4月24日発売)
世界秩序が揺れ動くなか、インド太平洋地域の地政学的重要性が高まりをみせている。同地域は中国の「一帯一路」構想の主要な対象地域だ。インド太平洋地域の比較的小さな国々と中国との二国間関係は、どのような要因をもとに発展してきたのか。本書の共同研究グループが考案した分析枠組み「五要因モデル」を用いてバングラデシュ、ラオス、フィリピン、セルビア、スリランカ、ザンビア、の6カ国の事例を分析する。小さな国々がどのようなカードを切り札にし、いかに大国との関係を構築し、自国の利益を引き出してきたのか、それぞれの中国との二国間関係の実像を描く。小国は必ずしも受動的な存在ではない。巨人を動かしうる生存戦略が示される。
Edited by Kyoko Ishida
A5判 223ページ / 本体:3,800円+税(2026年4月17日発売)
これまで日本法に関する英語の書籍は乏しく、特に日本人の研究者が執筆に関与したものはごくわずかしか存在しなかった。日本の大学で教鞭をとる研究者たちが協同して、日本の社会や法制度について初学者にも分かりやすく解説した英語テキストを刊行。
留学生のほか、日本とのビジネスに携わるビジネスパーソンも必携の一冊。
English-language books on Japanese law have long been limited, and only a handful have involved Japanese scholars as contributors. This new volume, written collaboratively by leading researchers teaching at universities in Japan, offers an accessible introduction to Japan’s legal system and society from a socio-legal perspective.
It is designed to be easily understood by beginners, while also providing valuable insights for those studying Japanese law and society, as well as for professionals and businesses engaged with Japan.
Publisher’s note:
For overseas customers: The Kindle edition of this book is available for purchase on Amazon.com.
劉宋・范曄 著 / 唐・李賢 注 / 渡邉 義浩 訳
文庫判 604ページ / 本体:1,350円+税(2026年4月13日発売)
大好評「後漢書」シリーズ第10巻は「列伝」の6巻目。後漢末期の臣下には、曹操を評価し、共に乱世を駆け抜け、抵抗して殺された人物も多く含まれる。たとえば、人物批評家の許劭は、「治世の能臣、乱世の姦雄」と曹操を看破する。さらには、曹操が「我が子房(劉邦の天下統一を助けた張良)」を得たと「王佐の才」を称えた荀彧。曹操を支えて天下分け目となった官渡の戦いで袁紹と曹操を比較しながら分析し、四つの点で勝る曹操の勝利を予言する。しかし、やがて曹操が漢を滅ぼそうとすると、それに抵抗して殺された。陳寿による『三国志』とは異なり、曹魏に遠慮のない『後漢書』は、漢の忠臣として荀彧を描き出す。孔子二十世孫の孔融も、曹操に抵抗して殺されていくなか、四百年続いた漢帝国に滅亡の時が迫る。
【収録人物】
左雄、周挙、黄瓊、荀淑、韓韶、鍾皓、陳寔、李固、杜喬、呉祐、延篤、史弼、盧植、趙岐、皇甫規、張奐、段熲、陳蕃、王允、劉淑、李膺、杜密、劉祐、魏朗、夏馥、宗慈、巴粛、范滂、尹勳、蔡衍、羊陟、張倹、岑晊、陳翔、孔昱、苑康、檀敷、劉儒、賈彪、何顒、郭太、符融、許劭、竇武、何進、鄭太、孔融、荀彧ほか。
Edited by Kate Elwood, Gui Yongtao
A5判 495ページ / 本体:5,000円+税(2026年3月13日発売)
北京大学と早稲田大学の研究者・大学院生による共同ワークショップ(2024–2025年度)の成果をまとめた論文集。アジアの知的伝統・政策環境・文化表現を通じて、変容するグローバル・ガバナンスを多角的に考察する。
政治経済学、国際制度論、国際法、文学研究、建築史など、学際的視点を横断する構成が特徴である。
第1章は、アジアにおける国際制度とグローバル・ガバナンスを扱い、気候変動と司法制度、日本のポピュリズムと日中関係、ESGや経済ガバナンス改革などを論じる。
第2章は、グローバル政治経済の再編をテーマに、日本企業のグローバル化、中国の対欧州戦略、国家能力、国際自動車貿易、法改革、食の安全保障、米中技術デカップリングなどを分析する。
第3章は、国際法に焦点を当て、人道に対する罪の個人責任、国際司法裁判所の再発防止保証、国家責任と個人刑事責任の補完関係を検討する。
第4章は、日本文学を中心に、岡倉覚三、島田雅彦、赤沼三郎、源実朝、宇佐見りんなどの作品を通じて「他者」や想像力の問題を論じる。
第5章は、日中の伝統建築研究を取り上げ、寺院、絵画、石碑、祖廟平面図などを通じて建築と社会的意味の関係を探究する。
This volume presents selected papers from the 2024–2025 joint workshop of Peking University and Waseda University. It explores the transformation of global governance from Asian perspectives through an interdisciplinary approach spanning political economy, international law, literary studies, and architectural history.
The chapters address governance and economic change in Asia, key issues in international law, representations of “the Other” in Japanese literature, and the social meanings embedded in traditional architecture in Japan and China. Together, these studies highlight the value of cross-cultural dialogue and collaborative scholarship in understanding contemporary global challenges and fostering sustained academic exchange between China and Japan.
三﨑 良章 著
A5判 カラー口絵6ページ+294ページ / 定価:7,700円(税込)(2026年2月13日発売)
墳墓内の壁面等に画像を描いた壁画墓は、中国において前漢前期に築造が始まったものの、後漢末期以降は衰退していった。一方、魏晋十六国時代の間も周縁地域では築造が続いていた。本書ではとくに中国北部の壁画墓群に注目し、その図像の分析から映し出された政治・社会の動向を解き明かす。
魏晋十六国時代、中国北部地方では漢族だけではなく、匈奴・羌族・盧水胡・鮮卑等さまざまな非漢族が居住していた。遼寧と河西、遼陽と朝陽など、地域ごとの特徴も検討し、漢族と非漢族をめぐる複雑な居住状況を明らかにする。揺れ動く社会は壁画墓にいかに刻まれたのか。図版多数掲載。
似鳥 雄一 著
新書判 308ページ / 本体:1,200円+税(2025年12月24日発売)
自力救済の時代といわれる中世。そこに生きる“中世人(ちゅうせいびと)”たちは、なぜ大人しく税を納めていたのか? そもそも、それは「大人しく」だったのか? 彼らが税の見返りに求めたものとは何で、荘園経営を担う領主たちはその要望に対し、どのような“見返り”を提供していたのか? 本書は、荘園における課税と納税の論理、徴税の実際をこまやかに追うことで、荘園制、ひいては中世社会の本質をあぶりだし、その変質と衰退とが、室町幕府という政治権力のふるまいやありようをも左右したことにまで言及する。新進気鋭の荘園研究者が、社会経済史、民衆史の最新成果をもとに挑む、税の本質、人間社会の本質に迫る論考。