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Petra Karlová 著
A5判 320ページ / 本体 4,000円+税(2018年1月30日発売)
The established theory argues that pre-war Japan’s perspective of Southeast Asia was mainly concerned with its natural resources. However, this book on ethnologist Matsumoto Nobuhiro shows that scientific study of Southeast Asian culture had already existed in this time. It traces the formation and development of Matsumoto’s ideas on Southeast Asia based on his writings in the period 1919-1945. Matsumoto started studying this region from evolutionist ethnology and decided to focus on it under the influence of diffusionist ethnology, because he believed in significance of Japan's relation with Southeast Asia in ancient times. In the 1930s and 1940s, he established Southeast Asian studies and Vietnamese studies by bringing research materials from French Indochina to Japan, introducing them to the Japanese people and founding research institutes at Keio University. He acquired various theories from Western and Japanese scholars and somewhat adjusted his arguments to the political climate of the era. This book examines evolutionist, sociologist and diffusionist ethnology, Southern Culture Theory, Southward Theory, Climate Theory, Orientalism, Southern Advance Theory, and Pan-Asianism in his works. It reveals that Matsumoto’s perspective of Southeast Asian culture was a patchwork of arguments from many theories. In this pattern, he offered multiple views on this culture, which instigated further development of Southeast Asian studies in diverse fields, but his conclusion on Japan-Southeast Asian relations remained ambiguous.
野口 真広 著
A5判 334ページ / 本体 4,000円+税(2017年12月25日発売)
日本統治時代、立憲主義に基づき英米の植民政策を応用して台湾人による自律的な地方自治を目指した人々がいた。
早稲田大学で学んだ楊肇嘉を中心に、植民地時代の台湾人による自治運動がどのように形成されたのかに注目し、日本の植民地施策研究に新たな視点を与える。
「本書は1930年代の台湾から展開した地方自治運動を地方から自治権の拡大を求めた政治運動として分析することで、植民地台湾の政治運動史に新たな可能性を提示している。」『次世代論集』vol.3(2018年3月)にて紹介。評者:安 度炫氏(東京大学総合文化研究科修士課程)。http://hdl.handle.net/2065/00056912
「早稲田大学の影響も浮かび上がらせた本書は、植民地台湾の研究に一石を投じる力作である。」『早稲田学報』2018年6月号にて紹介。評者:劉 傑氏(早稲田大学社会科学総合学術院教授)。
前田 徹 著
A5判 392ページ / 本体 5,000円+税(2017年5月25日発売)
人類最古の文明が成立した地域の一つ、メソポタミア。ティグリス・ユーフラテス両川下流域に成立した都市国家が統一国家に展開する過程と、シュメール・アッカド人から野蛮とみなされたエラム、マルトゥなど周辺民族の国家・権力の形成を考える。
楢山 満照 著
A5判 272ページ / 本体 3,600円+税(2017年4月5日発売)
後漢時代の蜀、すなわち現在の四川地域でつくられた鏡、および画像石や石闕などの石造遺物には、独特の図像表現がみられる。「官営工房の動向」と「儒教の礼教主義」という2つのトピックから、この時代の四川地域で作られた造形美術にみられる独特の表現形式の経緯を探る。掲載写真多数。
石井 裕晶 編
A5判・上製函入り 口絵4ページ 本文1076ページ / 本体 18,000円+税(2017年1月15日発売)
明治・大正の政財界で活躍した立志伝中の人物、中野武営(なかの・ぶえい)。
明治21年、愛媛県会議長として香川県の独立を成功させたのち、香川県議会議員、衆議院議員、東京市会議長を務める。
政治家として活動する一方、東京株式取引所(現・東京証券取引所)理事長、東京商業会議所(現・東京商工会議所)会頭に就任し、実業界において大正デモクラシーをリードした。
香川新報社(現・四国新聞社)、百十四銀行、高松電灯(現・四国電力)、高松商業会議所(現・高松商工会議所」)といった香川県の有力企業のほか、日本興業銀行(現・みずほ銀行)、明治神宮、理化学研究所の創立に関わる。そのほか、関西鉄道(現・JR東海)社長、東京馬車鉄道(現・東京都交通局)取締役、小田原電車鉄道(現・箱根登山鉄道)社長、日清生命保険(現・T&Gフィナンシャル生命)社長、東洋製鉄株式会社(現・新日鉄住金)社長、田園都市株式会社(現・東京急行電鉄)初代社長も務める。
本書は、中野が新聞・雑誌などに発表した論文、自伝、処世訓を、味わい深い当時の資料の姿をいかしつつ掲載、知られざるその人物像に迫る。明治・大正期の政治・経済史を知るうえで欠かせない資料集。
推薦のことば
「石井裕晶氏は中野の研究者として知られ、『制度変革の政治経済過程』(早稲田大学出版部)で、中野も関わった明治・大正期の営業税廃税運動の論理を極めて緻密に提示した。本書の各章冒頭の解説は、この成果を活かした新鮮な中野小論である。また、収集資料を通して中野の姿が生き生きと浮かび上がる。中野は大隈重信と渋沢栄一を支え、彼らから学び、非植民地・貿易立国論を体現、都市経営にも尽力した。日本近代史研究、とりわけ大隈・渋沢研究等に必読の本だ。」京都大学教授・伊藤之雄氏
「明治から大正にかけて、日清・日露の大きな戦役を経ながら産業国家として発展していったわが国を支えた男の生き様を蘇らせてくれる著作集。中野武営は、高松藩士の家に生まれ、武士としての矜持を持ちながら実業に政治に縦横無尽に活躍した。営業税撤廃といった実業界発展の運動の一方で陸軍の過度な拡大には反対の論陣を張った。また、日米・日清間の親善に務めた。経営者、政治家だけでなく、若い人に広く読んでもらいたい本。」第一生命経済研究所特別顧問・松元 崇氏
谷口 建速 著
A5判 384ページ / 本体 5,500円+税(2016年11月15日発売)
1996年、中国湖南省長沙市市街地中心部の建築現場で発見された古井中から、総計14万点にのぼる簡牘群(走馬楼呉簡)が出土。この簡牘群は、三世紀(三国呉初期)の長沙郡臨湘侯国に関わる行政文書であった。走馬楼呉簡の地方穀倉や庫に関する記録や簿を主な史料とし、三国呉初期の地方財政制度の構造の解明を試みる。
湯浅 有希子 著
A5判 274ページ / 本体 4,000円+税(2016年6月10日発売)
江戸時代から平成にかけての医療および医療制度の分析を通じて、明治以前の「接骨」から大正以降へ続く「柔道整復」への形成過程を明らかにする。柔道整復師の成立に大きな影響を与えた天神真楊流柔術の医学理論および同流柔術家による政治活動のほか、日本柔道整復師会の活動にも言及する。
「本書は、天神真楊流柔術および江戸から平成に至る接骨・柔道整復の医療、制度について、約10年にわたる著者の研究をまとめた歴史書である。『日整六十年史』をはじめ、先人の業績を縦横に博引しながら、自らの見解を新たな柔術伝書、図版、手記、議事録等の実証的な史資料で明解に示し、丹念に分析している。一般にはほとんど知られていない柔道整復の歴史を詳細に描出した労作であり、柔道整復師の手引書として有用な一冊である」公益社団法人日本柔道整復師会会長 工藤鉄男
「柔道整復の未来を語るうえでも、知っておきたい歴史を多くの図版とともに分かりやすく解説。」『医道の日本』2016年9月号(医道の日本社)の新刊紹介欄にて紹介。
野口 洋二 著
四六判 200ページ / 本体 1,800円+税(2016年5月7日発売)【電子版あり】
近年、欧米を中心に、研究領域の著しい広がりを見せている中世の宗教的歴史。最近の研究は、教会や教会制度の歴史、宗教的実践や信仰についての聖職者による公式な見方ばかりでなく、民衆の信仰心や聖人崇拝、異教的伝統や魔術や迷信、幻想や奇跡なども取り上げて検討されている。
本書はこうした中世の宗教的歴史に関する世界的潮流にのっとり、年代記や教会会議の決定、贖罪規定や勅令や聖人伝、迷信や魔術を批判するさまざまな論説、教令集や聴罪司祭手引書や神学的著作などを通じて、中世ヨーロッパにおける異教的伝統や、それに基づく信仰や慣習が、いかなる時期に、いかなる地域に存続していたか、またこうした異教的伝統に教会がどのように対応したかを明らかにするものである。
※こちらの書籍の機関向け電子版は、丸善雄松堂Maruzen eBook Library にて、購入することができます。詳細は同社ホームページをご覧ください。
また、個人向け電子版については、丸善雄松堂の冊子・電子書籍販売サイト「Knowledge Worker」にて購入することができます。詳細は同サイトホームページをご覧ください。
野口 洋二 著
四六判 182ページ / 本体 1,905円+税 【電子版あり】
中世前半期のヨーロッパでは、「贖罪規定書」と呼ばれる、罪を償う方法を示した手引書が数多く作られ流布していた。それには、殺人、偽誓、近親相姦、偶像崇拝、窃盗、不倫などの重大な罪から、非情な態度、教会でのマナー違反、セクハラ、風呂場で女性の裸を見ることなどの微細な罪にいたるまでのさまざまな罪と、それにたいする償い(パンと水による断食)が、具体的かつ詳細に述べられている。本書は、11世紀初頭に編纂された、その代表的で最も包括的な規定であるヴォルムス司教ブルカルドゥスの規定を取り上げ、それをつうじて、この時代の重大な罪の種類や、民衆教化にたいする教会の政策的意図などを検討するとともに、これらの規定から読み取れる当時の民衆の生活や思考、文化などの一面を明らかにしようと試みている。巻末には、この規定の「試訳」が付されており、史料に直接触れることによって、歴史にたいする興味をより一層深めることができるであろう。
※こちらの書籍の機関向け電子版は、丸善雄松堂Maruzen eBook Library および紀伊國屋書店Net Libraryにて、購入することができます。詳細は各社ホームページをご覧ください。
また、個人向け電子版については、丸善雄松堂の冊子・電子書籍販売サイト「Knowledge Worker」にて購入することができます。詳細は同サイトホームページをご覧ください。