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甲斐 伊織 著
A5判 270ページ / 本体:4,000円+税(2024年4月5日発売)
大正時代に起きた新教育運動以降、国語教育において学習者が主体的に学ぶ教育思想、教育実践は繰り返し強調されてきた。しかし、そのような立場は、一般化されたものにはならなかった。本書は、単元学習の実践者として広く知られる大村はま(1906~2005)の実践を研究の対象とし、その課題の克服に向けた知見を得ることが目的である。大村国語教室における個別の単元の成立の背景には、大村の教材研究やそれに基づく手引きなど、大村個人の力量によるものと共に、もう一つの要因がある。それは、大村の指導によって教室に蓄積されてきた学習者の学習経験である。本書では、大村国語教室における学習経験の蓄積の復元・考察を通して、今日の国語教室と共通する、主体的な言語活動を成立させる要素や単元相互の関連、および個々の単元が果たす役割について考察する。
青木 弘 著
A5判 320ページ / 本体:4,000円+税(2024年3月15日発売)
本書では、群馬県と埼玉県の横穴式石室を対象に、古墳の階層性を成立させた築造技術体系と造墓集団に迫る。横穴式石室は、複雑な工程と多様な技術が駆使された土木建造物であり、およそ6世紀から7世紀にかけて、各地で膨大な数が築かれた。横穴式石室の築造技術を分析することで、造墓集団の地域展開を明らかにする。また、分析にあたり実施した横穴式石室の調査では、文化財への利用が促進されている三次元計測やSfM/MVS(Structure from Motion/ Multi-Video Stereo)を活用し、定性的分析や定量的分析を実践することで、個別の成果に加えて、3D技術を用いた調査・研究方法の利点や課題を示す。
早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センター 編
A5判 352ページ / 本体:4,000円+税(2023年12月25日発売)
2019年4月、早稲田大学 先進理工学部に一人の全盲の学生が入学した。小学2年生の時に全盲となった彼女は、筑波大学附属視覚特別支援学校中学部、都立高校を経て、早稲田大学を受験。みごと現役合格を果たしたのである。そこで課題に直面したのは早稲田大学であった。はたして、どのようにすれば全盲の学生に大学の実験科目を履修してもらうことが可能なのか。この課題に、中心となって対応したのが、早稲田大学 理工学術院統合事務・技術センターの技術部に所属する技術職員たちであった。彼らはつねに彼女に寄り添いながら、学内外のステークホルダーたちを巻き込みつつ、高等教育機関として、当該の実験科目を通じて彼女に何を伝えるべきなのか、という根本的な問題意識の下に奔走する。その技術部の視点から綴った、現場からの報告が本書である。ダイバーシティやインクルージョンの重要性が叫ばれるなか、視覚障害教育に携わる人たちにとってはもちろん、すべての教育関係者にとって貴重な示唆に富んだ、他に類を見ない一冊である。
福村 真紀子 著
A5判 270ページ / 本体:4,000円+税(2023年12月25日発売)
「日本では何もできない」。夫の国である日本に移住したものの、日本語が自在に操れず、孤立していた子育て中の外国人女性のことばである。出自国と日本との経済格差により弱い立場に置かれることも多く、社会で活躍するチャンスも奪われ、人的ネットワークも築けない。そのような結婚移住女性たちのコミュニケーションの力を、いかに育てればよいのか。日本語教師である著者が立ち上げた、結婚移住女性と日本人女性が交流する親子参加型サークルでの実践研究をもとに、地域日本語教育の在り方を考える。コミュニケーションの力が育つ過程で〈ことばの学び〉がどのように促されるのか、エスノグラフィーを通して浮かび上がらせる。
正井 章筰 著/尾形 祥・菊田 秀雄・内藤 裕貴 補訂
A5判 800ページ / 本体:9,000円+税(2023年12月22日発売)
ドイツにはコーポレートガバナンスのあり方の一つとして、会社経営の意思決定に労働者の半数を代表する者が参画する「労働者共同決定制度」が存在する。著者はこの分野の第一人者であり、長年にわたる研究成果として、同制度の歴史的経緯、現状と問題点をまとめた一冊。
これさえあれば、ドイツ労働者共同決定制度のすべてがわかる。すべての企業法研究者におすすめの一冊。
石橋 省三・星 浩 編著
新書判 250ページ / 本体:900円+税(2023年12月18日発売)
現代日本のジャーナリストは、何を基準とし、誰に向けて、何を発信しようとしているのだろうか。湛山の思想がどう受け継がれてきたのか、また、どう引き継いでいこうとしているのか。以上をテーマに2023年6月17日、早稲田大学大隈記念講堂で開催された石橋湛山没後50年記念シンポジウムを、本書の第一部で採録する。
本書第二部は、より歴史的な観点から石橋湛山の人物と事績について紹介する。湛山と早稲田大学の関係、湛山の経済思想、言論人時代と政治家時代を通じての言論と行動について、気鋭の研究者たちによる論文を掲載。また、湛山の理念を次代のジャーナリストに伝える取組みである「石橋湛山記念 早稲田ジャーナリズム大賞」についても紹介する。
瀬川至朗 編著
四六判 232ページ / 本体:1800円+税(2023年12月15日発売)
近年注目されている、オープンデータを活用するデータジャーナリズムの最前線がわかる、早大人気講座「ジャーナリズムの現在」の講義録。SNS、統計、衛星画像などの膨大なデータから、どのように分析、調査、取材をしていけばいいのか。調査報道やOSINTの活用事例、ファクトチェックについて取り上げる。さらに、データジャーナリズムの現場を知り、未来を考えるシンポジウムを収録。
そして、これからのジャーナリストに必要な問題意識とは。埋もれた真実に辿り着いた、テニアン島の日本人移民の壮絶な戦争体験、占領期の米軍基地被害、北方領土問題をそれぞれ長年にわたり取材したジャーナリストたちから学ぶ。
本野 英一 著
A5判 カラー口絵8ページ+本文414ページ / 本体:5,000円+税(2023年12月8日発売)
メディアをにぎわす中国の商標権侵害、その起源は明治日本にあった!
現在世界中で問題になっている、中国企業による外国製品商標の侵害行為。その手口は、明治期に日本企業が西洋企業製品を標的に行っていた手口と、それを合法化していた日本政府の法解釈を取り入れたものだった――。
国内外にある膨大な文書を通じて、知られざる歴史的事実を明らかにした画期的研究。
【訂正情報】巻末の著者紹介におきまして、誤りがございました。お詫びのうえ、下記の通り訂正させていただきます。
正誤表(盗用から模造へ).pdf
大石 紘一郎 著
四六判 224ページ / 本体:1,800円+税(2023年11月27日発売)
ジョン・レノン、オノ・ヨーコ両氏の作詞・作曲による計14曲(【目次】にはない「女性上位万歳」を含む)の歌詞(原則として、英文原詞と著者による訳詞)を収録・掲載し、それぞれの楽曲が発表された当時の政治・社会情勢や本人たちの言動を紹介しながら、アーティストとしての二人の活動の意味と狙いを、著者独自の政治学という視点から分析。今日の社会が抱える政治・社会問題との共通性を示しつつ、彼らの活動の普遍的な意味と価値を明らかにする。当時第一の関心事であったベトナム戦争を背景に、戦争反対のみならず、国家の意思決定や宗教に対する懐疑、女性蔑視への抗議など、ジョンとヨーコが投げかけた先見的なメッセージは、今日の読者にとっても新鮮なものであり、60~70年代への再評価の動きとあわせて、ビートルズ世代を中心に広く読者の支持を得られること請け合いである。